パーパスの抽象度はあえて“高め”がよい
澤:パーパスが北極星とは限らない、企業が従業員に押し付けるものではない。名和先生のお話を聞いていて、私もその通りだと思いました。ただ、皆で共有できるわかりやすい言葉がなければ共通理解がなかなか進まないので、ビジョンなどが必要になるのだと思います。しかしこれもまた難しいところで、ビジョンをあまりにも具体的にしてしまうと、今度は個人を縛ることになってしまうんですよね。ですから、ある程度の抽象度が必要だと。
そんな観点で私が最近注目しているのが、Amazonです。同社は、「地球上で最もお客様を大切にする企業」というミッションステートメントを掲げています。このくらいの抽象度が最も理想的なんじゃないかと。「お客様を大切にする」というのは顧客起点のことだと誰もが理解できますし、それ以上の具体が明示されていないことで、お客様を大切にするために一人ひとりが多様なアプローチをとることができます。