記録方法と自己流の補完で「再生客観性」を高める
記録方法には、「メモ(文字情報)」、「録音(音声情報)」、「写真(視覚情報)」、「動画(音声+視覚情報)」の4つがある。記録そのものの目的は、ユーザーの行動を直接見ていないチームメンバーにも、現場の様子を客観的に共有することにある。記録がうまくとれていないと、メンバーと情報を共有する際の根拠が非常にあいまいになってしまう。
記録の目的から考えれば、最も有効な記録方法は動画であり、ユーザーの前後左右あらゆる角度から撮影して一挙一動を記録できれば完璧と言える。しかし、現実的には不可能だろう。
もっといえば、実際の現場で堂々とビデオを回し続けられる場面は非常に少ない。必然的に、メモ・録音・写真をうまく組み合わせて現場の様子を上手に再現できる記録を残す必要がある。それでは、どのような基準で記録方法を選べばいいのだろうか。
最初に考えるべき点は「自分の得意な記憶方法は何か?」である。たとえば、目で見ることで情報が頭に残りやすい人であれば、視覚情報による記憶が得意といえる。一方、人の話を聞くことで情報が頭に残りやすい人であれば、聴覚情報による記憶が得意となる。
もし、Aさんが自分の得意な記憶方法の延長線にある「写真」を活用したとしたらどうなるだろうか?オフィスに戻った際に、現場における貴重な手がかりであった音声情報は、永久に再現されることがない。
現場の「再生客観性」を少しでも高めるように、自分の得意な記憶方法を意識的に補完しながら記録をとるように心がけたい。