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東レ、NTTドコモ、トヨタら5社の社内起業家たちが語る、新規事業の“現在地”と“未来”

日本新規事業大賞レポート

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 スタートアップの活躍に注目が集まる中、既存企業の内側から生み出される「新規事業」も大きな盛り上がりを見せている。2024年5月15日、16日に開催された日本最大級のスタートアップ展示会「Startup JAPAN 2024」では、企業内で新価値創造に挑む社内起業家たちに光を当てた「日本新規事業大賞」の最終審査が行われた。今回は、最終審査に残った5社によるプレゼンテーションと大賞発表の様子をお届けする。

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社内の事業開発に光を当てた「日本新規事業大賞」

 「日本新規事業大賞」は、企業の可能性を広げる事業を立ち上げ、それにより企業変革を成し遂げている新規事業に贈られる、公募制の大賞だ。第1回となる今回は、「Startup JAPAN 2024」内で、最終審査に残った事業の代表者によるプレゼンテーションが行われた後、その場で審査員たちによる評価が行われ、大賞が決定されるという。

最終審査登壇者

  • 朝日インテック株式会社発 新規事業/歩行専用トレーニング・サービス 「walkey」/基盤技術研究本部 鹿子泰宏氏
  • 株式会社CARTA HOLDINGS発 新規事業/運用型テレビCMサービス「テレシー(TELECY)」/株式会社テレシー ファウンダー 土井健氏
  • 東レ グループ発 新規事業/未来を織り成す:先端素材で切り開く産業革新/MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社 代表取締役 ⻄⽥誠氏
  • 株式会社NTTドコモ発 新規事業/プログラミング教育サービス「embot」/株式会社e-Craft 代表取締役社長 額田一利氏
  • トヨタ自動車株式会社発 新規事業/素材開発における意思決定を支援するデータ解析クラウドサービス「WAVEBASE」/新事業企画部 事業開発室 WAVEBASEグループ 山口剛生氏

審査員(※50音順)

  • 麻生要一氏(株式会社アルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEO)
  • 石井芳明氏(経済産業省 中小企業基盤整備機構 審議役)
  • 及部智仁氏(株式会社quantum 代表取締役社長 共同CEO/東京工業大学 特任教授)
  • 鈴木規文氏(株式会社ゼロワンブースター代表取締役 会長)
  • 大丸徹也氏(株式会社Relic 取締役CRO Co-Founder 兼 ストラテジックイノベーション事業部長)
  • 土成実穂氏(株式会社ユニッジ 代表取締役Co-CEO)

 ここからは、最終審査に残った5団体のプレゼンテーションを紹介する。

治療から予防へ、toBからtoCへの挑戦

 最初に、朝日インテックの新規事業「walkey」を率いる鹿子泰宏氏が登壇した。

 同社は、国内外で高いシェアを誇るカテーテル治療用製品メーカーだ。従来の開胸手術よりも身体への負担が少ないカテーテル治療を通じ、患者のQOL回復に貢献してきたが、より予防的なアプローチで人々の役に立ちたいという想いから新規事業開発をスタートさせた。

 まず、QOL低下の根本原因として下肢の筋肉量低下に着目し、様々な専門家にヒアリングを実施。最終的にたどり着いたのが、「反転ジム」モデルを採用した歩行専用トレーニング・サービス「walkey」だった。ユーザーは普段、自宅で専用機器を用いながら歩行トレーニングを行い、2週間に1度、店舗で歩行力を計測するというサービスだ。

朝日インテック株式会社 基盤技術研究本部 鹿子泰宏氏
朝日インテック株式会社 基盤技術研究本部 鹿子泰宏氏

 単なる自宅トレーニングとは違い、定期的な歩行力チェックがあるため、ユーザーはモチベーションを維持しやすい。また、歩行トレーニング機器は日常生活に調和するようにデザインされており、ユーザーが抵抗感なく置けるのもポイントだ。

 中でも、技術者である鹿子氏は、「課題・目標・成果の数値化」に最もこだわったという。歩行という複雑な動作を、運動自体の負荷や身体への負荷など様々な側面から数値化し、精緻な計測を実現。他の類似サービスと一線を画す、差別化ポイントとなった。

 同社にとって、初のtoCサービスとなった「walkey」。鹿子氏は「手探りの状態から始めた」と苦労を振り返るが、サービス開始から1年あまりで1店舗目の定員が充足するなど、成果は出ているそうだ。今後はコスト負荷を下げながらユーザー数を増やすべく、企業や介護・福祉施設などへのアプローチも考えているという。

 発表を受けて、ゼロワンブースター 代表取締役 会長の鈴木規文氏は、「技術から生まれる効果よりも、効果に至るプロセスがユーザーのニーズに合致していることが重要」と指摘。鹿子氏は、新しいサービス経験をポジティブに捉えるユーザーの声を紹介しつつも、今後も検証は常に行い、ソリューション改善につなげたいと答えた。

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

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