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なぜ多くの大企業ではイノベーションが起こせないのか──ISO56002を適用した組織実行の仕組み

講演者:株式会社システムコンシェルジュ イノベーション推進室 最高イノベーション責任者(CINO) 大塚和彦氏

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長期的には必要だが短期的に“必要性を感じていない”という認識が障壁に

 「イノベーションを起こす」と言っても、そう簡単には起こせないと思う人は多い。失敗を恐れ、変化を拒み、出る杭は打たれるといった「組織文化の問題」、時間や資金がない、経験がない、人材がいないといった「リソース不足」。そして、「戦略とビジョンの欠如」もイノベーションを阻む大きな要因だ。「経営から出てくるビジョンや戦略が不明確でやるべきことがわからない」「戦略や計画性がなく、場あたり的」という声もよく耳にする。

 組織のサイロ化、組織内外への情報の共有の欠如、ルールの不明瞭、フィードバックの欠如など、コミュニケーションの問題と括ることができるテーマが特に課題が大きく、トップマネジメントの問題も顕著に現れている。

 実際に大塚氏が企業の経営層およびミドルマネジメント層と触れ合う中で、「今はそんなに重要性を感じていない」「特に今のビジネスは困っていない」という声も少なくない。しかし、自覚症状が出てきた時はもう取り返しがつかない可能性が高い。その意味で、イノベーションを阻害する最大の理由は、過去の成功や独自のやり方に固執するがゆえの問題意識・危機意識の欠如にあると言えるだろう。

 大塚氏は、「独自のやり方で失敗するケースも多い。やはり成功している方法論で実践するのがよい。成功した方法論をベストプラクティス化した国際標準規格のISO56002、ISO56001のフレームワークやガイドラインにすべての解決策が書かれている。これをしっかりと実践することが大切」と強調した。

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株式会社システムコンシェルジュ イノベーション推進室 最高イノベーション責任者(CINO) 大塚和彦氏

 それでは、そもそもイノベーションとは何か。

 国際組織であるグローバルイノベーションマネジメント研究所(Global Innovation Management Institute)によると、イノベーションとはドット(因子)を結合させて新しい価値を生み出すことだとしている。ドットとは、社内外の情報に加え、顧客や取引先、従業員のスキルや人脈、能力などのビジネスに関わるすべての情報のことだ。イノベーションを生み出すためにはこうした情報やアイデアをできるだけ多く集めることが重要となる。さらに、それらをつなげる仕掛けや仕組みが必要だ。その2つがイノベーションの方法論における重要ポイントとなる。

 たとえば、あるものが発明され、改善されて性能が上がる、それもまたドットの1つだ。スマートフォンとペンを組み合わせ、勉強するほどキャラクターが成長していく「魔法のペン」もしかり、Googleと眼鏡を組み合わせた「Googleグラス」もしかり、今あるものどうしを組み合わせるもので新しい価値が生まれる。それがイノベーションというわけだ。

 ただし、その情報の集め方にコツがあるという。たとえば、株主や一部の経営層などが「やりたいこと=線」を引いてから、それを肯定する情報だけを集めるようでは、決してイノベーションは成功しない。

 「正しいイノベーション活動」では、できるだけ多くのドットを収集し、その中からニーズや価値を引き出して、結びつけていく仕組みが必要となる。これはつまり、ISO56002(イノベーション・マネジメントシステム)に照らし合わせれば、情報収集と機会の特定、アイデア出しからコンセプト化を進め、ソリューションを開発して、リリースすることに当てはまる。その後、振り返りとナレッジ化をすることで組織の力量を向上させることも期待できる。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社システムコンシェルジュ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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