「iPS細胞技術の社会実装」に大学発バイオベンチャーとして向き合う
大角:今までの歩みを振り返り、iPS細胞技術の社会実装における課題は何だったか、それに対してどのように向き合ってきたかをお聞かせください。
福島:最大の課題は、治験に膨大な時間を要することでした。本来なら疾患モデル動物での薬効評価を踏まえた、第Ⅰ相から第Ⅲ相まで3段階の臨床試験が必要です。そこで当社は、iPS細胞事業において、既存薬を用いた化合物スクリーニングや既に取得済みの安全性データの活用、また安全性と有効性を組み合わせた臨床試験を実施し、開発スケジュールのショートカットに努めました。一度薬になった化合物を選定することで、ヒトでの安全性が担保でき、動物での安全性試験をスキップできたわけです。