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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

富士通の新規事業創出プログラムはどのように社内外に受け入れられたのか──FIC事務局が語る共創の未来

第2回 ゲスト:富士通 斉藤一実氏、川口紗弥香氏、殿村亜希氏(後編)

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柔軟な枠組みで広がるFICの新規事業創出支援

イノベーション鈴木(以下、イノベーション):前編では、私の前職である富士通の新規事業創出プログラム「Fujitsu Innovation Circuit」(以下、FIC)の全体像について伺いました。

 FICは富士通グループ全体を対象とした新規事業創出プログラムとして、国内外から幅広い応募を受け入れていますが、これまでの成果についてもお聞きできますか。

殿村亜希氏(殿村氏):2021年12月の事務局の創設から2024年3月までに、アントレプレナーシップ人材育成プログラム「Ignition」に参加した社員がグループ全体で2,500人を超え、その後、新規事業提案・創出プログラム「Challenge」に挑戦したチームは145にも上ります。

 さらに、その中で「Challenge」を通過して次のステージに進んだ35チームがあり、富士通の100%出資子会社「富士通ローンチパッド」への異動を果たし、事業化に挑んだのは14チームです。こうした積み重ねの中で、いくつかのプロジェクトが具体的な事業として動き始めています。

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イノベーション:FICがここまで広がりを見せる中で、既存事業部門との関わりや、国内外の事業拠点との連携が重要になっているかと思います。特に、現在富士通は時田隆仁社長のもとで「海外事業の変革」に注力されていますが、FICがこうした国内外の拠点や関連会社とどのように連携しているのか、お聞かせください。

斉藤:私自身、これまでグローバルのプロジェクトに参加する中で、海外拠点のメンバーから「国内拠点と格差がある」という話を耳にすることがあり、その是正は個人的にも長年の課題でした。そのためFICの設立時から、日本と海外に同等の新規事業創出プログラムを提供しようとトライしてきました。

 幸いなことにバブソン大学の山川恭弘教授は日本語と英語の双方に堪能なため、国内外で同じ内容の教育を提供できるようになりました。ただ、現状は教育プログラムについてはグローバルで一貫した内容を提供していますが、事業化支援については、国内拠点を基軸に進めている状況です。

富士通株式会社 CEO室 CDXO div. シニアマネージャー 斉藤一実氏(所属は取材時)
富士通株式会社 CEO室 DX Division シニアマネージャー 斉藤一実氏(所属は取材時)

川口紗弥香氏(以下、川口):富士通は世界各国に拠点があり、社員がいますが、国ごとに異なる事業環境がある中で本格的な事業化までの支援環境を整えるのは、事務局のリソース面での課題があります。

 現状、「Challenge」以降は、日本時間・日本語での対応になりますが、今後は私たちが力をつけて体制を強化し、海外にもより門戸を開いていきたいと考えています。「真のグローバルカンパニー」を目指す上でそうできるとよいなと思います。

イノベーション:それでも日本と海外で同等の教育を届けられていることは、他社のプログラムに類を見ない特徴だと感じます。国内事業部門に対する、FICの波及効果はいかがでしょうか。

斉藤:プログラムが開始してから約3年が経ち、国内の事業部門でもFICに対する知名度と信頼が高まってきています。特にFICの新規事業の方法論が、従来の事業部とは異なる点が評価され、事業部発の新規事業について、FICに「並走してほしい」と相談を寄せてくださるようになりました。従来のように「新規事業案を完成させた後に、事業部に引き継ぐ」という一方的な流れとは違い、初期段階から事業部とFICが連携することで、社内の反応や評価も良好です。

イノベーション:それは素晴らしい変化ですね。FICが富士通の各事業部門の信頼を得て、グループ全体の新規事業推進のハブになりつつあるのが伝わってきます。

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皆本 類(ミナモト ルイ)

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