現在新しく生まれつつある、イノベーション・マネジメントの専門職IMP
「プロジェクトマネジメント職」や「品質管理の専門家」などの職業は、言葉を聞けばその役割が何であり、なぜ組織に必要なのかは今や自明のこととなっている。今、カールソン氏らは、イノベーション・マネジメントの専門家についても同様の明確性を持たせられるようにさまざまな活動を行っている。この専門家は組織のイノベーション能力の構築に寄与し、その能力を今後はISO 56001などの国際標準に照らして構築していくことになる。
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このイノベーション・マネジメント専門職(Innovation Management Professional: IMP)のモデル構築は10年前に始まり、現在はこの職種が何を扱うか、専門家となるには何を知り、何を行うのかを整理しており、コンピテンシーフレームワークの策定を進めている段階だ。将来的にはISO56011として発行する予定だという。
この認証は、組織だけでなく、個人が自分の能力や経験を証明するものとして使えるものになる。認証を取得することで、専門家としての地位を強固なものにし、雇用市場を形成し、就業を有利にすることができるだろう。雇用する側にとっては、イノベーション能力の向上や標準の実施を助ける専門家を採用する際の品質保証にもなる。
カールソン氏も2017年から務めるスウェーデンの研究機関RISEでは、数年前からイノベーション・マネジメント専門家の個人認証を提供し始めた。この取り組みは現在、国際的な展開へと進んでおり、他国の人々もこの認証を享受できるようになっている。この認証は第三者認証であり、トレーニングプロバイダーや知識体系の提供者とは独立して運営されている。因みにJapan Innovation NetworkではRISEとAmplifyとの提携を結んでいる。
ISO 56000シリーズという国際基準、そして新たに生まれつつあるイノベーション・マネジメント専門職によって、企業、公共機関などありとあらゆる場所でのイノベーションは加速する。それは、この国際基準が共通言語とフレームワークを提供するからだ。
現状はISO 56000シリーズもイノベーション・マネジメントの専門家も、まだ認知度が低いのが課題だ。しかし、今後は皆で盛り立てていきたいと語り、カールソン氏は講演を締め括った。
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