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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

ENEOSの社内ベンチャープログラムはなぜ「運営担当者」や「管掌部署」が変わっても進化し続けるのか

ゲスト:ENEOS 大間知孝博氏、堀尾聡裕氏(後編)

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“新規事業のレシピ”を保管し可視化する

イノベーション:最後に、Challenge Xを今後どのように発展させていきたいかお伺いします。

堀尾:事務局としては、より「事業が生まれていくプログラム」にしていきたいと考えています。そのためには、成功事例を作って“見える化”することが重要です。こういったプログラムは、経営層を含めてその意義を感じていただけなければ、継続が難しくなります。単に「制度がある」というだけではなく、「具体的にどういう成果が出ているのか」を示し続けることが不可欠です。

大間知:私たちは、収益面での貢献はもちろん「人が育った」「人を発掘した」という側面も大切にしています。Challenge Xが社員にとっても、これから入社してくる方にとっても魅力的な存在になるよう、制度の価値を多面的に伝えていきたいと思います。

 また、新規事業のプロセス管理も重要です。たとえば、非常に良いと思われた案件でも、ある1つの要因ですぐには事業化が難しくなり棚上げになるケースがありました。それに対しては、「どういう条件が整えば実現できるか」を整理し、事業設計図として保管しておくという丁寧な仕事を担当してくれるメンバーもいます。どうしても「だめならもういい」となりがちですが、私たちはそのプロセスも財産として積み上げ、「Challenge Xはこういう資産を持っています」と、可視化することを重視しています。

堀尾:まさに“新規事業のレシピ”のようなものを保存しておき、環境が変わったときに「この条件が整ったから、これをやってみよう」と展開できるようにしているのです。

イノベーション:今回お話を伺ってきて、ENEOSでは人や管掌部署が変わっても制度を活かし続けられていることを感じました。その秘訣についてもお聞かせください。

大間知:1つには、複数人で運営していることが大きいです。個人に依存せず、チームで取り組むことで、誰かが異動しても制度の思想やノウハウが受け継がれていきます。また、Challenge Xにおける事業開発は2年間のプログラムなので、制度の途中で中断することは想定しにくい構造になっています。こうした継続性を担保する仕組みが、人や状況が変化しても制度を維持する基盤になっていると思います。

 もう1つ重要なのは、「制度自体も柔軟に変化する」という姿勢です。環境や状況が変われば、制度も進化させていく。その際に大切なのは「型」と「魂」を分けて考えることです。型としての手順や仕組みは整備しつつも、そこに魂をきちんと入れていく。このバランスが、制度を形骸化させずに継続していく秘訣だと考えています。

イノベーション:型と魂のバランスという考え方は、制度を長続きさせる上で重要な視点ですね。今回のお話を通じて、新規事業提案制度の持続可能な運営のヒントが多く得られました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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