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新規事業開発マネジメントの要諦

“意義”と“定義”で整理する6パターンの事業開発──多様なアプローチをケースバイケースで使いこなす

第4回

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“誰”が“どのように”新規事業開発を行うかのアプローチを検討する

 このステップでは、事業開発の主体やアプローチを選定します。これは、これまでに述べた「目的/意義」と「目線/定義」の軸によって、主に6つのパターンに分類できます。

  1. ボトムアップ型新規事業開発
  2. トップダウン型新規事業開発/カーブアウトなど
  3. 新規事業創出プログラム/社内ベンチャー制度/社内ビジネスコンテストなど
  4. M&A/マジョリティ投資など
  5. マイノリティ投資/CVC (コーポレート・ベンチャー・キャピタル)やJV/提携・共同研究など
  6. アクセラレーションプログラム/ピッチイベント/ハッカソン・アイデアソンなど

 これをマトリクスで配置すると、下の図表のようになります。

クリックすると拡大します

 まず縦軸の「目的/意義」とは、「自社ではなぜ新規事業に取り組もうとしているのか」という問いからのアプローチとなります。「目的/意義」の視点は大きく2つに分類できます。

 上段の「事業成果を中心に追求」する場合は、たとえば「次の収益の柱となる事業を開発したい」「既存事業とのシナジー効果を創出したい」などが該当します。そのためには、「①ボトムアップ型新規事業開発」「②トップダウン型新規事業開発/カーブアウト」「④M&A/マジョリティ投資など」「 ⑤マイノリティ投資/CVCやJV/提携など」という4つのアプローチ方法があるということになります。また、これらはすべて個別の事業の成果に主眼を置く「プロジェクト型新規事業開発」といえます。

 一方、下段の「事業成果に加えて、組織風土や人材の強化も追求」する場合は、「新規事業に適した人材を育てたい」「新しい企業風土や文化を醸成したい」などが該当し、「③新規事業創出プログラム/社内ベンチャー制度/社内ビジネスコンテストなど」「⑥アクセラレーションプログラムやピッチイベント/ハッカソン・アイデアソンなど」という2つのアプローチが存在します。これらはすべて一定の型があるプログラムという形式を取り、特定の期間内に一律で事業開発プロセスを推進する仕組みを作る「プログラム型新規事業開発」になります。もちろん、自社にない組織能力や人材の獲得を目的とする「アクハイヤー」としてのM&Aなど一部例外も存在しますが、基本的には上記の分類で整理ができます。

 次に、横軸の「目線/定義」で新規事業開発を考える場合、「自社が取り組む新規事業のテーマや領域がどのようなものか」が問いになります。「目線/定義」のアプローチも大きく2項目に分かれます。1つは「自社(内部)の経営資源の転用・拡張で優位性を構築するクローズドイノベーション」と、もう1つは「外部の経営資源との結合で優位性を構築するオープンイノベーション」があります。さらにその中でも、「現在の顧客起点で発想し、顕在化した市場・顧客の需要に対して短期的に対応する」のか、「未来の社会起点で発想し、潜在的な市場/顧客の需要に対して中長期で対応する」のかによって分類されています。前者は「フォアキャスト」、後者は「バックキャスト」と言い換えることができます。

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クローズドイノベーションにおける事業開発アプローチ

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この記事の著者

北嶋 貴朗(キタジマ タカアキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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