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Helpfeelが進める「AIナレッジデータプラットフォーム」とは──急成長を実現する成長戦略

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「AIナレッジデータプラットフォーム」を具現化する新サービス

 続いて登壇した執行役員 CTOの秋山博紀氏は、AIナレッジデータプラットフォーム構想を具現化する3つの新サービス「Helpfeel Support」「Helpfeel Analytics」「Helpfeel Agent Mode」を発表した。これらのサービス群により、同社はナレッジ検索エンジンの提供にとどまらず、カスタマーサポート業務全体を一気通貫で支援する体制を構築する。秋山氏は「従来、サポートに届く問い合わせの量そのものを減らすプロダクトを提供してきたが、新プロダクトによって有人対応の業務もAIで支援していく」と述べた。

株式会社Helpfeel 執行役員 CTO/開発本部長 秋山博紀氏
株式会社Helpfeel 執行役員 CTO/開発本部長 秋山博紀氏

 3つのサービスの中でも特に注目されるのが、課題解決型AIエージェント「Helpfeel Agent Mode」だ。これは、従来の検索窓のUI(ユーザーインターフェース)に加え、対話型のUIを提供し、ユーザーの課題をその場で解決まで導くことを目的とする。デモンストレーションでは、ホテルのWebサイトを想定した画面で「誕生日」と入力すると、「誕生日のプランはありますか?」というFAQが提示され、それを選択するとチャットモードに移行。回答文とともにケーキやギフトを手配するためのミニアプリのような予約フォームが表示され、アレルギー情報を入力した上で予約を完了させるまでの一連の流れが、ページ遷移することなくシームレスに実現された。単に回答を提示するだけでなく、具体的なアクションまで完結させられる点が、既存のチャットボットとの大きな違いである。

 「Helpfeel Analytics」は、膨大な量のVoC(顧客の声)をクラスタリング・分析するためのプラットフォームだ。「Helpfeel Support」は、コールセンターやサポートチーム向けの問い合わせ管理システムであり 、チケットの発行から担当者の割り当て、AIによる返信ドラフト生成まで、有人対応のプロセスをAIが多角的に支援する。

 これらのサービスはそれぞれ単独でも機能するが、組み合わせることで、問い合わせの発生から分析、ナレッジ化、そして有人対応の効率化まで、包括的なソリューションを提供する。「Helpfeel Agent Mode」は2025年10月に、「Helpfeel Support」はクローズドベータ版を2025年10月に、「Helpfeel Analytics」は2025年12月に提供開始を予定している。

ARR成長率は70%超。技術力と導入効果を武器に事業を拡大

 Helpfeelの事業は急速な成長を遂げている。会見では、過去3年間の年平均成長率(3Y CAGR)が80%超、直近の年間経常収益(ARR)の前年比成長率が70%超という高い成長率を達成していることが示された。この成長を支えているのが、導入による明確な効果だ。最大で64%の問い合わせ削減を実現するなど 、サポートコストの削減といった直接的な経済合理性に加え、AI時代に最適化されたWeb体験の提供による売上向上にも貢献しているという。執行役員 COOの宮永志帆氏は、これらの成果が経営指標にダイレクトにインパクトを与える点が、多くのエンタープライズ企業に選ばれている理由だと説明した。

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 同社の競争優位性を示すもう1つの指標が、約8割という高いリプレイス比率だ。新規顧客の多くが、競合製品や内製システムからの乗り換えであり、一度導入した顧客の解約率は1%未満と極めて低い水準を維持している。これは、多くの生成AI活用プロジェクトがPoCで終わってしまう中で、Helpfeelが実業務に根ざした具体的な成果を出し続けていることの証左といえる。

 この競争力の源泉となっているのが、同社の高い技術開発力だ。iPhoneのフリック入力システムを開発した増井俊之氏がテクニカルフェローを務めるほか、経済産業省所管のIPA(情報処理推進機構)が実施する「未踏事業」に採択されたエンジニアが洛西氏を含め6名以上が在籍している。

 技術と市場のニーズを組み合わせた同社の戦略について、3つの軸で解説した。1つ目が「コアテクノロジーの磨き上げによるクロスセル機会最大化」だ。サポート検索から始まり、マニュアル検索/ニーズ検索、そして今回発表したナレッジデータプラットフォームと、サービスを拡大させてきた。2つ目が「顧客基盤・ニーズ顕在層の拡大」だ。CSやコールセンターを抱える企業からWeb接客の拡大を目指す企業、ノウハウを拡大したい企業へと顧客層を拡大している。3つ目が「周辺領域のアップセル機会」だ。ナレッジマネジメントの国際標準フレームワークであるKCS準拠、Web接客のVoC分析や最適化支援、企業全体の情報抽出・顧客情報抽出と、提供サービスの拡大に合わせて周辺領域のビジネスも拡大させている。

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 洛西氏は最後に、テクノロジー、顧客のニーズ、周辺領域の3軸で今後もビジネスを展開していくと語り、戦略発表会を締めくくった。

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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