ベルソナ分析などでも実証される「顧客セグメント」の有効性
米国大手家電小売りBestBuyのペルソナ分析
顧客セグメントをさらに推し進めたマーケティング手法として「ペルソナ分析」があります。ペルソナ分析とは、自社のターゲット顧客の特徴を細部にわたって浮き彫りにした理想的な架空の人物像を明確にする手法を指します。ペルソナ分析を活用することによって、その人物像の顕在的かつ潜在的なニーズや抱えている課題などを解明するのに役立ちます。
たとえば米国大手家電小売りBestBuyは、個人のターゲット顧客を4人のペルソナを定義し、各々のペルソナにフィットする最適な顧客サービスを展開しています(図7)。
- テクノロジー熱狂者で新しい道具を自慢することが好きな若者(Buzz)
- 自分の娯楽ニーズを満たすためにテクノロジーを購入する価格を気にしない裕福な専門職(Barry)
- 快適な家庭生活のためにテクノロジーを購入する良きパパ(Ray)
- テクノロジーや娯楽を子供のために購入する郊外に住む働く母親かつ労働者で家庭内のCEO(Jill)
「妊娠」までも購買履歴から推定する小売りチェーンの「チェーンスコア」
分析技術を駆使しながら、顧客のプロファイルや行動履歴など使用し、何らかのアクションを起こすための基礎材料として「顧客をスコアリング」するという手法も、かなり幅広い領域で活用されるようになってきました。クレジットカードや小口ローンの申込者が延滞をする可能性を推定する「リスクスコア」、特定のマーケティングオファーに対する顧客の反応度を表わす「レスポンススコア」、通信会社などが既存顧客の行動履歴から他社への乗り換えを予測する「離反防止スコア」などが有名です。
昨年春に、米国で話題になったのがTargetという小売りチェーンが開発した「妊娠スコア」です。これは、女性顧客の購買アイテムの変化からスコアを計算して、確率の高い顧客にはクーポンを配るというマーケティング施策です。妊娠女性は体に負担がかかるため、自分のお店でまとめ買いをしてもらおうという狙いとのことで、何でもTargetは妊娠スコアを活用することで10億ドル近い収益を上げたとのことです。