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富士通、サプライチェーンを最適化するマルチAIエージェント連携技術を開発し実証実験を開始

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 富士通は、サプライチェーン全体を最適化するマルチAIエージェント連携技術を開発した。同技術を用いて、東京科学大学・ロート製薬とともに、ロート製薬のサプライチェーンを最適化する実証実験を2026年1月から開始する。

図1:マルチAIエージェントの連携の課題と目指す姿
図1:マルチAIエージェントの連携の課題と目指す姿

マルチAIエージェント連携技術

 同技術は次の2つの要素技術で構成され、情報セキュリティの懸念により企業間AIエージェントが連携できない課題を解決するという。

1. 不完全情報下でのAIエージェント全体最適制御

 同技術により、各企業の機微なデータを共有することなく最低限のデータ共有のみで各企業のAIエージェントが適切に連動し、サプライチェーンの最適化と変化への迅速な対応を可能にする仕組みを実現する。AIエージェント間の提案とその回答のやり取りから、提案側AIエージェントが複数の相手側AIエージェントにとって好ましいコスト・スケジュール・調達ルートなどの条件を推定。それをもとに全体として提案側AIエージェントがサプライチェーン全体の最適な状態を見つけ出す技術を開発した。

2. セキュアエージェントゲートウェイ

 セキュアエージェントゲートウェイは、分散型AI学習技術とAIエージェント間ガードレール技術などで構成。企業に属し異なるベンダーにより開発されたAIエージェントを、企業の機密情報およびプライバシー情報を保護しながらシームレスかつセキュアにつなぎ、企業を跨ぐ安心・安全なAIエージェント連携の構築と運用を実現する。

 AIエージェント連携の構築時、各企業は自社業務に対応したAIエージェントを準備。このとき、サプライチェーン全体の生産計画などの特性を相互に把握してAIエージェントを調整することにより、各AIエージェントはサプライチェーン全体最適に向けた動作が可能。今回開発した分散型AI学習技術では、知識蒸留を活用して複数の他のAIエージェントと知識を共有することにより、機密情報やプライバシー情報を共有せずにサプライチェーンの特性を学ぶことが可能となる。さらに同技術は、知識共有のための相手AIエージェントを、過去の連携における性能向上への寄与度や信頼性に基づき動的にマッチングする機能を備えている。

 また、AIエージェント間ガードレール技術は、悪意ある巧妙な質問を見破るとともに、事前にAIエージェントの挙動・回答を繰り返しシミュレーション。これにより、機密情報・プライバシー情報を推測されない安全な情報に更新し、提供することで安全な通信を実現する。

図2:開発した技術の概要
図2:開発した技術の概要

実証について

 同社は東京科学大学の開発したAIエージェント技術と同社のマルチAIエージェント連携技術を組み合わせ、東京科学大学とロート製薬とともに仮想のサプライチェーンで実証を行い、物流のルートやスケジュールなどを最適化。これにより、最大30%の運搬にかかるコスト削減の効果が期待できることを確認した。今後、より実践的かつ大規模なレベルの検証として、2026年1月から2027年3月までの期間にロート製薬のサプライチェーンを活用し実践を模した検証を行う。

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