次世代社会システム研究開発機構(INGS)は2025年12月22日、「AIエージェント白書2026年版」の発刊とその概要を発表した。本白書は、AIエージェント技術の現状およびプラットフォームアーキテクチャの進化、ガバナンスや組織変革の実装指針を包括的にまとめたものである。

本白書によると、AIエージェント市場は2024年の5億4,000万ドルから2030年には50億3,100万ドルへと9倍以上に拡大すると見込まれている。成長の年平均率(CAGR)は45.8%とされ、急速な市場成熟が予想されている。96%の組織がAIエージェント活用拡大を計画しており、中堅企業の55%が2026年までに導入を予定している。さらに、67%の経営者がAIエージェントの役割変革に同意し、84%が競争力維持に不可欠と認識している。
本白書はAIエージェントの定義を、従来のチャットボットや自動処理ツールにとどまらず、フレームワーク設計・ガバナンス・ワークフロー・基盤モデル選定までを統合的に構築する「エンタープライズ・システムの変革」と位置付けている。また、PoC単発に終わらせないためのタスク分解やオーケストレーション設計、組織・経営・現場の各レイヤーでの実装指針を提供している。
本白書の特徴は、垂直の階層(インフラからガバナンスまでの8階層モデル)と水平協調モデルを組み合わせ、企業がAIエージェントを定着させるためのフレームワークを体系化している点にある。ガバナンス面では規制・リスク・信頼原則の統合フレームワークを提示し、意思決定プロセスや監査、KPI/KRI設計までを網羅している。
具体的には、マルチエージェント協調やフェデレーテッド協調などのプロトコル、コード開発、サプライチェーン管理、金融インテリジェンスなど複数領域でのユースケースが整理されている。基盤モデル選定にはModel Context Protocol(MCP)、Agent-to-Agent(A2A)、エッジ統合、ドメイン適応トランスファー学習など最新技術や標準化動向も取り入れている。
さらに、商用展開に向けたPoC設計、本番移行のチェックリストやベンダー評価基準、文化的・組織的な準備、投資評価、失敗パターンまでを含む「実装ロードマップ」も掲載している。
この白書は、グローバル市場の投資判断やベンダー選定、デジタル変革の優先順位付け、規制対応から研究開発戦略まで幅広い利用シーンを想定している。経営企画部門にとっては、AIエージェント導入の実践的な指針と全社変革の羅針盤として機能する内容となっている。
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