イトーキのAXの中核、「無限ループ型」進化モデル
第2部では、執行役員の竹内尚志氏が社内戦略としての「AX(AIトランスフォーメーション)」を詳説した。イトーキは昨年、Oracle Fusion ERPをはじめとする新基幹システムを稼働させ、「シングル・ソース・オブ・トゥルース(信頼できる唯一の情報源)」を構築した。
「データがAIレディになった今、我々が目指すのは改善ではなく『会社の再設計』です」と竹内氏は宣言する。同社が提唱する「無限ループ型AI進化モデル」とは、社内でAIを使い倒して得た知見を顧客サービスに還元し、そのフィードバックを再び社内に取り込むというものだ。製造業としては極めて稀な、サービスと内製業務が共進化するモデルと言える。
また、人材育成においても独自の定義を行っている。全社員を「AIユーザー」「AIスペシャリスト」「AIエンジニア」に分類し、既に100人を超えるITエンジニアが社内に存在するという。ハノイ工科大学との提携など、グローバルでのAI人材獲得にも余念がない。
「基幹業務×AI」で意思決定のスピードと生産性を“跳躍”させる
DX統括部長の齊藤頼芸氏は、ERP刷新によってもたらされた具体的な成果と、その先にあるAI活用のロードマップを公開した。
既にERP導入により、四半期決算のリードタイムは33%削減、受注処理工数は90%削減といった劇的な効果が出ているという。「しかし、ERPはあくまで土台。この上に予測AI、生成AI、AIエージェントを組み合わせ、KPI(重要業績評価指標)駆動で業務をデザインしていきます」と齊藤氏は述べる。
今後の2年間で、単純作業をAIに任せ、人間が創造的な活動に専念できる環境を構築していく。齊藤氏は「AIが行うのはあくまで補助であり、最終的に創造的な判断を下すのは人である」という原則を強調し、業務の質そのものを昇華させる姿勢を示した。
自社工場の働き方をAIで変革する
再び八木氏が登壇し、自社工場での実践例を紹介した。イトーキは「自らサービスを使い倒す」ことをモットーとしており、滋賀のチェア工場「イトーキ デザインハウス 滋賀」を1月にリニューアル。ここには「Data Trekking for Factory」が適用されている。
位置情報の可視化ツールを導入し、広大な工場内で「誰がどこにいるか」をリアルタイムで把握。さらに、データとサーベイを突き合わせることで、工場ならではの最適な働き方とスペースを科学的に設計した。「見た目の美しさだけでなく、そこで行われる働き方そのものを最先端にアップデートしました」と八木氏は胸を張る。
