バックオフィス業務システムに、ユーザーが求める「4つの価値」
李氏は、請求書発行などのバックオフィス業務に関するシステムに顧客が求める4つの価値を提示した。
(1)正しく計算すること
AIは計算ロジックを作る補助はできても、そのロジックが法令や個社ごとの運用ルールに適合しているかどうかまでは判断できない。
(2)正しく残すこと
請求書は発行して終わりではなく、発行後のデータ保存や帳票の履歴確認が重要になる。過去データの整合性と電子帳簿保存法(電帳法)などの法要件の担保が同時に求められる。
(3)変化に耐えること
「組織の変更」「管理者の変更」「社内ルールの変更」「法律の変更」に、過去のデータと整合性を担保しつつ変更できるか。
(4)責任主体がいること
障害時に調査し、仕様を説明し、継続的に直し続ける責任主体にAIはなれない。
この4つの価値を受けて、「業務アプリを作れることと、責任を持って運用し続けられることは違う。この4つの価値を自社だけで担保できるのかが、問われているのです」と李氏は語る。
AIとSaaSは「対立」ではなく「適材適所」
前提として、バイブコーディング自体は否定するものではない。たとえばアンケートの簡易集計や社内イベントツールといった、社内向けやスポット利用のもので、社外・法務・会計への影響が限定的な領域であれば、生成AIで自作したアプリを活用して生産性を上げていくこともできるだろう。
一方で、経費精算、請求書発行、販売管理など専門的な業務領域で、社外連携・法的責任・継続性が伴う、いわばバックオフィスのインフラとなっているサービスは、自作のアプリに置き換えるリスクは大きい。
「AIかSaaSかという対抗論で語られがちだが、AI自作が向いている領域と、そうでない領域がある」と李氏は述べ、適材適所でDXを進めていくのが適切と締めくくった。
