デザイナーとノン・デザイナーの境界に橋をかける―Adaptive Pathのデザインディレクターが伝えたこと

Service Design Network Conference 2016講演レポート: 第1回

 2016年1月23日、慶應義塾大学日吉キャンパスにて、Service Design Japan Conference 2016が開催された。同会議は様々な事業分野に広がるサービスデザインの実践の現状を把握し、今後の課題を探ることを目的としたもので、日本での開催は3回目。本レポートでは、「デザイナーとノン・デザイナーの境界に橋をかける」と題した基調講演の模様をお伝えする。

[公開日]

[講演者] ジェイミン・ヘジマン [取材・構成] 有須 晶子 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] デザイン思考 サービスデザイン 組織マネジメント 組織文化 組織デザイン ワークスタイル カスタマージャーニー

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社外パートナーから社内パートナーとしてのサービスデザインチームへ

 基調講演に登壇したのは、米国を代表するサービスデザインエージェンシーの1つ、サンフランシスコを拠点とするAdaptive Pathのデザインディレクター、ジェイミン・ヘジマン氏。同社におけるサービスデザインの現場の経験をもとに、デザイナーとノン・デザイナーによる共創プロセスのあり方についてアドバイスを提供した。

 Adaptive Pathは、01年の設立以来14年まで、金融、コンシューマー、エネルギーなど各種セクターにクライアントをもつ典型的なデザインエージェンシーだった。14年10月にアメリカの銀行Captital Oneに取得され、30人のサービスデザインチームとして、従業員4万5000人の大企業の傘下に入った。Captital Oneは、預金やローンなどの通常の銀行業務に加え、クレジットカード会社としての機能や支払い方法多様化への対応も進めている。こうしたなか、デザインへの投資を増やしており、Adaptive Pathには社内のサービスデザイン能力の向上をリードするよう求められている。ヘジマン氏は環境の変化について次のように語った。

Captital Oneに参画してからノン・デザイナーの社員とプロジェクトを一緒に進めてきて、1年ほど経ちました。この間に社内で『サービスデザイン』ということばが使われるようになり、ジャーニー、エコシステム、共創価値といったサービスデザイン用語も組織全体に広まってきました。

 世界的なトレンドとして、ノン・デザイナーも、最初から最後までのサービスのプロセス全般を理解するためには、カスタマージャーニーマップ、サービスブループリントといったサービスデザインツールが役立つことを知るようになり、組織的に活用しはじめている。

 こうしてノン・デザイナーも参画するようになったサービスデザインのスコープは、どこまで広がっているのだろうか。次ページから見ていこう。

ジェイミン・ヘジマンジェイミン・ヘジマン(Adaptive Path デザイン・ディレクター)
米国の大手金融会社Capital Oneによって近年買収された代表的サービスデザイン・エージェンシーAdaptive Path社でサービスデザインを率いる人物であり、社外ではService Design Networkの役員も務めている。
Adaptive Pathでは、サービスデザインの活動を主導し、Capital One全体にその実践を展開する役割を担っている。またService Design Networkの役員として、これまで同組織の成長と、世界の多くのデザイナーやビジネス・リーダーに影響を与える過程に貢献してきた。彼の業績と考えは、著書『This is Service Design Thinking: Basics-Tools-Cases』の中にも記されているが、その他にも、講演や執筆、教育を通じて自らの知見と経験を世に広めている。

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