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「サービスの質」がビジネスの成否を分ける時代に必要なこと―デザインとリーンの統合

Service Design Network Japan Conference 2016セミナーレポート第4回

 2016年1月23日、慶應義塾大学日吉キャンパスにて、Service Design Japan Conference 2016が開催された。同会議は様々な事業分野に広がるサービスデザインの実践の現状を把握し、今後の課題を探ることを目的としたもので、日本での開催は3回目。本レポートでは、Livework社ブラジルオフィスの創始者で「フォーチュン500」企業などのアドバイザーを務め、日本でも著者『サービス・スタートアップ──イノベーションを加速するサービスデザインのアプローチ』が好評な、テニー・ピニェイロ氏の講演「起業家の時代のサービスデザイン」の内容について紹介する。

[公開日]

[講演者] テニー・ピニェイロ [取材・構成] 渡邉 悠太 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 人材教育 サービスデザイン リーン・スタートアップ 事業開発

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成功企業のサービスは“外科手術”を受けるような早さで改善される

 現在最も成功している企業の1社、Appleから学ぶことは多い。サービスデザインを通じて起業家精神を高める教育プログラムを提供するEISEの設立者でもあるテニー・ピニェイロ氏が講演の最初に紹介した事例もAppleだ。

Apple Musicがローンチされた直後、テイラー・スウィフトがブログで不満をこぼしました。当初、Apple MusicというサービスでAppleがアーティストに報酬を支払うのは、三ヶ月の視聴期間が終わってからになっていました。これに対してテイラー・スウィフトは自身のブログで『このことは進歩的な会社らしくない出来事だ。私たちはただのiPhoneを求めていない。だから、ただの音楽を求めてくれるな』と言いました。

驚くべきはこの直後たった数時間後におきました。AppleのVP、エディー・キューがTwitterで「テイラー、聞いたよ、私たちはあなたが大好きだ。だから、試聴期間もお金を支払うよ」と返事をしています。これは外科手術を受けているようなものです。サービスの屋台骨がたった数時間で変わってしまったのです。

 テニー氏がAppleを例に出して語ったのは、「製品の質」がビジネスの勝敗を分けていた時代は過去のものになり、今は「サービスの質」が勝敗を分かつということだ。

 サービスは製品と違って、作って売ってしまえば終わりになるのではない。サービスはユーザーからのフィードバックを元に改善されなければならない。なぜなら、サービスの価値はユーザーとのインタラクティブな関係から生まれるからだ。だからこそ、Apple Musicのように改善していく速度が重要になる。

サービスは早く動きます。サービスは製品とは違う動物です。だから、サービスという流れに参加したいのなら、早く動くことを学ばないといけないし、小さく考えなければいけないということです。

 サービスをビジネスの主軸に据え、小さく早く動こうとしているのは、Appleだけではないしスタートアップだけでもない。GE、ディズニー、東京三菱UFJ銀行といった世界に名だたる大企業がサービスという流れに参加しているのだ。

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