“ひと”が最優先――アクセンチュアが「テクノロジービジョン2016」を発表

企業のイノベーション創出手法における根本的な変化を予測

 アクセンチュアは、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2016(テクノロジービジョン2016)」を発表した。このレポートにおいて、“ひと”を最優先に行動する先進的な企業が、今日のデジタル時代の覇者になると予測している。(画像は「Accenture Technology Vision 2016」より)

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[著] BizZine編集部

[タグ] 企業戦略

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 かつてない速さでテクノロジーが進歩し、労働力に関する創造的破壊が急激に進む中、企業は、従業員やエコシステムのパートナー、消費者といった”ひと”に新たなスキルを与えることで、多くのイノベーションを生み出すことができる。こうした企業こそが唯一無二の力を持ち、斬新なアイデアや最先端の商品やサービスを創り出し、市場に創造的な破壊をもたらすことができるとしている。

 アクセンチュアのCTOであるポール・ドーアティ氏は、「『テクノロジービジョン2016』では、デジタルビジネスを成功に導くための5つのテクノロジートレンドを予測しました。デジタルという言葉は“ひと”も意味するものであり、『主役は”ひと”(People First)』という概念が今年のテクノロジービジョンのテーマです。企業は、デジタルテクノロジーを取り入れることで生産性を向上させ、卓越した成果を生み出すための新しいスキルを、社員やパートナーに対して継続的に習得させることが可能になります」と述べている。

 「テクノロジービジョン2016」の作成にあたり、アクセンチュアが世界3,100人以上の企業幹部およびIT担当役員に対して調査を行ったところ、世界経済の33%がデジタル化による影響をすでに受けていることが明らかになった。またこの調査では、86%の回答者が「テクノロジーは今後3年間で、急速に、またはかつてない速さで進化する」と予測している。

 「テクノロジービジョン2016」では、企業が他社との競争において「デジタル・カルチャーショック」を経験し、テクノロジーの変化のペースに圧倒されているという実状が明らかになっている。しかし、“ひと”を最優先にした取り組みを行えば、企業はデジタル化による創造的破壊を促す新たなビジネスモデルを創り出すことができるという。

 例えば、ゼネラル・エレクトリック社では、顧客と従業員との距離を縮める「ファストワークス」と呼ばれる新しい手法を構築したことで顧客ニーズの理解がさらに深まり、売上増加につながる革新的なソリューションを俊敏に開発できるようになった。

 また、シリコンバレーに本社を構える唯一の航空会社であり、高品質なサービスを誇るヴァージン・アメリカ社は、顧客ロイヤルティに応えるため、株式上場前に常連顧客に対してストックオプションを提供して顧客との関係をさらに深化させた。

 「テクノロジービジョン2016」では「主役は”ひと”」という概念のもと、デジタル時代の覇者になるための5つのテクノロジートレンドを定義している。

 1. インテリジェント・オートメーション(Intelligent Automation): 業界をけん引する企業は、業務オペレーションの抜本的な変革と、ひとと機械の協働による生産性向上のために、人工知能(AI)やロボティクス、拡張現実を活用した自動化を進めている。調査対象者の70%が「AI関連技術への投資は、2年前に比べて増えている」と回答しているほか、55%が「機械学習や、IPsoftのアメリア(Amelia)などの組込み型AIソリューションを広く活用する計画がある」と回答しており、大規模な投資が本格的に始まりつつある。

 2. 流体化する労働力(Liquid Workforce): 業界をけん引する企業は、労働力に変革をもたらすテクノロジーを活用することにより、デジタル時代の日々変わりゆくニーズを満たすことができる柔軟な労働環境を実現できる。この調査でも「流体化する労働力」がもたらす競争優位性が明らかになっており、デジタル時代の労働環境において従業員が高いパフォーマンスを発揮するために企業が求める要素として、「専門的な業務知識を有していること」は5番目に重要視される結果となった。一方で「学習の速さ」や「対応の柔軟さ」がより重要視されている。

 3. プラットフォーム・エコノミー(Platform Economy): 業界のリーダーは、新たな成長機会を逃さないために、パートナーや顧客と繋がる共通のデジタル上のプラットフォームを軸にしたビジネスモデルを創り出しており、テクノロジーを最大限に活用した、産業革命以来最も大きな変革が世界経済で進行している。こうした変革を裏付けるように、調査対象者の81%が、「プラットフォームを軸にしたビジネスモデルは3年以内に、自社の成長戦略の一端を担う」と回答している。

 4. 破壊を予期する(Predictable Disruption): 急速に成長するデジタルのエコシステムは、異なる市場をつなぎ、業界の垣根を取り払う、次なる創造的破壊の波を誘引している。先見の明を持つ企業は、こうしたエコシステムの将来像を積極的に予測し、自社の競争優位性の向上に努めている。業界によってその影響度は異なるものの、81%の企業はすでにエコシステムによる創造的破壊に直面していることが分かった。

 5. デジタル時代の信頼(Digital Trust): 調査では、83%の回答者が「デジタル時代における経済の要は信頼である」と回答している。新たな状況下で個人やエコシステム、規制当局との信頼関係を築くために、企業はデジタル領域における倫理を戦略の中心に据えなければならない。セキュリティの強化だけでは、もはや不十分だ。