ネットで拾った画像は危険! 知財のプロが語る著作権の落とし穴とストックフォトのススメ

社内資料、プレゼンや講演の資料、Web制作など、クリエイターだけでなく、一般のビジネスパーソンでも写真や画像を使う機会が増えてきている。こうした画像の利用には注意が必要だが、インターネットと著作権の問題はなかなかわかりづらい。AdobeのStock Photoサービスのプレス向け発表会で、ITコンサルタントで弁理士の栗原潔氏が、Webにおける画像使用の注意点やストックフォトサービス利用のポイントを語った。その内容をお届けする。 (TOP写真:株式会社テックバイザージェイピー 栗原潔氏)

[公開日]

[著] BizZine編集部

[タグ] ビジネスIT

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五輪エンブレム問題、ネックは画像不正使用だった

 AdobeのStock Photoサービスのプレス向け発表会で、栗原潔氏は「素材写真利用における著作権法上の留意点」と題する講演をおこなった。栗原氏は自身のブログや、ヤフーニュース個人で積極的に、テクノロジーと特許に関する情報を発信している。昨年は、「五輪エンブレム問題」で大忙しだったようだ。ネットと著作権の問題については、多くの人がSNSなどで関わりを持つにもかかわらず、一般にはわかりづらいと栗原氏は言う。

著作権法をひとことでいうと「著作物の保護」と「著作物の利用」とのバランスを取りながら、著作者を保護するための法律です。 著作権法はSNSへの投稿などで、一般の人も関わるものなのに、複雑で罰則が厳しいのです。(栗原氏)

 日本もアメリカも、著作物の利用には著作権者の許諾が必要なのは変わりない。ただし、米国の場合より柔軟で「フェアユース」という概念があるが日本にはない。そういう意味では、日本のほうがより厳格だ。たとえば、検索エンジンもサーバーに著作物をコピーするので、日本では著作権侵害だった。合法になったのは最近のことだ。

 「写真」もプロが撮ったものであれ、一般の素人が撮ったものであれ著作物である。構図・照明等の決定、シャッターのタイミング等に、撮影者の個性が発揮され得るためだ。ただし監視カメラや証明書写真の自動撮影のような機械が撮ったものは別。 インターネットでは、この「写真」の流用が問題になる。

 もちろん、著作権法30上にある「私的使用目的複製」や、公正な観光による報道・批評・研究のための「引用」は別である。ただし、自由に使えるケースは少ないと考えた方が良いと栗原氏はいう。

TV番組の録画や画面もブログで公開すると限られた目的での複製という規定からはずれます。たとえば現実的にそれが禁止されているかどうかは別にして、会議で新聞のコピーを配るというのも違反になります。

 問題は「業務利用の複製」の認識が一般に浸透していないことだ。その顕著な例が、昨年の「五輪エンブレム問題」だという。エンブレムの「パクり」については色々と議論があったが、明らかに問題だったのは、デザイナーの佐野研二郎氏が、五輪エンブレムのコンペ資料に海外ブログの写真の無断利用したことが発覚したことだ。結局これが原因で、佐野研二郎氏のエンブレム採用は取り消しになってしまった。

「コンペだから」「社内資料だから」はNG、とはいえ実際は?

業務上であれば、仮に社内限定であっても、複製権を侵害することになる(もちろん、社外に公開すれば、私的使用か否かを問わず複製権・公衆送信権等を侵害することになる)。昨年、TVや各メディアから取材を受けた栗原氏には、この「違法であること」を明言することを期待されていた。しかし、そこは栗原氏は慎重になったという。

違法ではあるのですが、そこを違法と明言してしまうと、世の中の常識と合わなくなってしまいます。社内資料にネットからとった画像を使う場合、いちいち権利者に確認するかどうか、高速道路を10キロオーバーで走ったらすべて罰せられるか。現実はグレーの領域ではあります。

たしかに社内資料や、企画書、プレゼンや講演で使うスライド画像にすべて著者者の承諾を得ているかと言われれば、大半の人はそうではないだろう。

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