「クリエイティブ人材」が魅力を感じる都市とは?

【対談】入山 章栄 氏 × 佐宗 邦威 氏:第2回

 対談連載『Design×Management=Innovation 』は、早稲田大学准教授・入山章栄氏(『世界の経営学者はいま何を考えているのか』著者)と佐宗邦威氏(人気ブログ「D school留学記〜デザインとビジネスの交差点」著者)の2名を対談ホストに迎えて、断片的に語られることで本質が見えにくくなっている「イノベーション議論」に横断的な視点を入れ、各界のトップランナーを迎え議論を深めていく企画である。本連載企画の方向性を示すために、対談ホストである2人の対談をお届けする。今回は入山・佐宗対談の第2回目をお送りする。

[公開日]

[語り手] 入山 章栄 佐宗 邦威 [画] 清水 淳子 [取材・構成] 伊藤 真美 [編] BizZine編集部

[タグ] タレントマネジメント 競争戦略 都市研究 クリエイティブシティ

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人とコミュニティが魅力的な「本能的に心地いい都市」

佐宗:
 前回、アイディアが生まれる都市環境と脳の休憩についての関連性を指摘されていましたが、私も今、自分自身の「仕事をする環境」について考えているところです。

 実際、アーティストやデザイナーといったクリエイティブな人々が地方に移住して、二拠点居住をしながら創作活動を行うケースが増えていますよね。地方にホワイトスペースとしてのビジネスチャンスがあるというのもありますが、何より「本能的に気持ちよく活動しやすい」と気づいているからだと思うんです。

入山:
 なるほど。では、四国徳島の神山町については、どう思いますか? 過疎の山里にIT系ベンチャー企業が相次いでサテライトオフィスを開いたことで話題になりましたね。ブロガーのイケダハヤトさんも高知に移住されたそうですが。

佐宗:
 古くはこの流れを作った島根の海士町、最近だと長野県の小布施や、高知県神山町なども注目されていますね。周囲にも地方に移住する動きが進んでいるのですが、彼らの話を聞くと、自治体などに先見性のある方がいて、課題があり新しい仕組みを世の中に実現したいアーティストやデザイナー、ビジネスプロデューサー的な人などその思いに響く人が集まり、成功しているんだと思います。

入山:
 私も個人的にとても関心があっていろいろ情報を集めてみたりしているのですが、そうした街の活性化にはやっぱり人が重要なファクターなのではないかと考えています。

 「ネットがあれば誰とでもどこでもつながれる」とはいいますが、実際にはネットが普及すればするほど、リアルな人のつながりが重要になってきます。なぜなら、ネットで集められる情報は誰でも集められるため希少性が低く、相対的に人と人とのインタラクションによって生み出される情報の価値が上がるからです。

 となれば、人は魅力ある人のもとに集まろうとして限られたエリアに集積することになり、コミュニティとしての都市間競争が進むことになるでしょう。実際、米国でのクリエイティビティは限られた都市に偏っており、特許出願数ではシリコンバレーの一人勝ちです。

佐宗:
 私が個人的に今引っ越ししたいと思っているのは鎌倉ですが、カヤックなどが行っている協同プロジェクト「カマコンバレー」などもあって面白そうです。デザイナーやアーティストも多く、狭い地域に良い人が集まる濃いコミュニティがあるように感じます。これは人やコミュニティに対する魅力ですね。加えて東京からさほど遠くないのに自然は多いし、特に北鎌倉のように歴史に培われたアーティステックな雰囲気にも惹かれます。

入山:
 そうそう、本能的に感じられる「環境としての快適性」も重要な要素であることは間違いありません。佐宗くんのような若い世代が、そうした本能的に快適と思われる街を選んで行動に移せるようになっているので、その意味でも日本でもいっそう都市間競争が進むでしょうね。

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