「モチベーションモデル」とは?
A:あのう、わたくし、ここからどの道を行けばいいか、教えていただきたいんですけど
B:そりゃ、あんたがどこへ行きたいかによるわな
A:どこだっていいんです
B:そんなら、どの道だってかまわんだろが
(不思議の国のアリスより)
「モチベーションモデル」とは、ビジネス計画に必要とされる主要な要素の構造を描写するものです。まずは、ビジネスアーキテクチャーを構成する「3つの階層」を復習しておきましょう。不思議の国のアリスの会話にたとえれば、モチベーションモデルは「辿り着きたい場所」と「選択すべき道筋」を提示するものです。つまり、ビジネス計画です。「ビジネスモデル」はモチベーションモデル構築に対する情報を提供する一方で、「モチベーションモデル」は現行のビジネスモデルに対して変化を促進するという働きがあります(図1)。
モチベーションモデルは、米国のOMG(オブジェクト・マネジメント・グループ)というコンソーシアムが提唱している「Business Motivation Model」をベースとしています。モチベーションという言葉を使っている理由は、「モチベーションモデル」におけるいくつかの要素が、ビジネス実行能力を表す「ケイパビリティモデル(ビジネスアーキテクチャーの3つ目の階層)」に対する“動機”を提供するものだからです。
モチベーションモデルの4つの柱
ビジネスモデルと同じく、モチベーションモデルも4つの大きな柱から構成されます。それは、「影響要因」、「アセスメント」、「目的」、「手段」です(図2)。
自社のビジネスに何らかの影響を与えるモノを「影響要因」と呼びます。「アセスメント」とは、これらの影響要因がどのように作用するかの“判定”を意味します。最終的にビジネス計画は、アセスメントを踏まえたうえで、「達成すべき目的」や「採用すべき手段」を決定していくことになります。
ここで、「ABCDE」という戦略計画管理プロセスをご紹介します(図3)。順を追って簡単にご説明していきましょう。影響要因の判定(アセスメント)をして、戦略課題とギャップ分析(ベースライン)を行った後で、目的や手段を決定します(コンポーネント)。さらに、実行計画や重要な業績指標を策定し(詳細への落し込み)、実行結果のフィードバックと計画の改善(評価)に繋げていくというステップとなります。
モチベーションモデルでは、これらのステップのうち、主に1番目と3番目の構造を取り扱うことになります。次のページからは、これらの4つの柱の中身を概観していくことにしましょう。