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ビジネス計画の構造を表すモチベーションモデルとは?

第16回

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「目的」とは、ある時点での辿り着きたい将来像

 モチベーションモデルの3つ目の柱は、「目的」です。目的とは、将来のある時点において達成、実現あるいは維持したいと望むものを指します。もともと英語ではEndですので、一般的なPurpose(意図や狙い)の意味における目的とは、少しニュアンスが異なります。

 目的は、大きく「ビジョン」と「成果」に分類され、成果はさらに「ゴール」と「目標」に分類されます(図6)。私が以前勤めていた会社では、外国人の上司から「この会議のゴールは何?」とよく言われたものですが、日本ではゴールという言葉はビジネスの世界ではあまり使われません。したがって、ゴールと目標をそれぞれ、「定性的目標」と「定量的目標」と置き換えてもよいでしょう。

目的の構造図6:目的の構造

 目的の構造を表す概念モデルにおいて、「ゴールは、ビジョンを具現化する」と同時に「目標は、ゴールを定量化する」という関係性がお分かりになるかと思います。目的の中で唯一定量的なものは目標です。かのアインシュタインは「数えられるものすべてが大事なわけではないし、大事なものすべてが数えられるわけではない」と言っていましたよね。

「手段」とは、目的達成に必要なアプローチ

 モチベーションモデルの4つ目の柱は、「手段」です。手段とは、目的を達成するために採用および実行すべき方法やアプローチを意味します。手段は、「ミッション」、「行動方針」、「指針」に分類することができます。さらに、行動方針は「戦略」と「戦術」、指針は「ポリシー」と「ルール」に分類することができます(図7)。

手段の構造図7:手段の構造

 「ミッション」は、使命や存在意義と呼ばれることもあります。手短にいえば、ビジョン実現のために誰に(ターゲット顧客または市場)に何の価値を提供しているのか(価値提案)に関して言及するステートメントです。ビジネスモデルで定義した要素が役立ちますよね。

 「行動方針」とは、ゴールや目標といった成果を達成するために、ビジネスモデルのどの側面に焦点を当ててリソースを配分するか意思決定した結果を表わすものです。一方、「指針」とは、行動方針を統制するために必要とされるものです。

 宅配ピザ屋さんを例にとって考えてみましょう。

 この会社は「地域住民にアツアツの美味しいピザを届けること」がミッションかもしれません。戦略は「他のライバル会社のどこよりも迅速にピザを届ける」であり、戦略を実践する戦術として「バイクの運転が上手な人間を雇うこと」を決めるかもしれません。しかしながら、戦略や戦術を実行するためには何でもありというわけにはいきません。たとえば、「店舗から半径5kmを超えた地域からの注文はお断りする」や「事故歴が多い人間を雇ってはいけない」などは指針となります。前者はルール、後者はポリシーの典型例です。ポリシーはルールに比べて具体性に欠ける傾向にあります。なぜならば、何をもって事故歴が多いといえるかは具体的なルールが必要だからです。

 さて、ここで目的と手段の関係性について整理しておきましょう(図8)

目的と手段の関係性図8:目的と手段の関係性

 目的と手段の関係性については、ビジネス計画の時間軸で捉えるとさらに理解が深まります(図9)。ビジョンとミッションは長期的なものであり、ペアで考えるとよいでしょう。ビジョンとミッションを合わせて経営理念や社是などと呼ぶ企業もあるでしょう。

 同様に戦略とゴール、戦術と目標をペアとなり得ます。多くの現代企業の中期経営計画は3年ですので、「戦略とゴール」は中期経営計画の時間軸、「戦術と目標」は単年度の時間軸で捉えればよいでしょう。この図に照らし合わせて考えることによって、何が目的で何が手段かを識別するのにも役立つかもしれませんね。

目的と手段の時間的関係図9. 目的と手段の時間的関係

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先が読みにくい現代も、ビジネス計画が必要なワケ

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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