なぜ名経営者は“全体をありのまま”受け入れて、「主観的なヒラメキ」で発言するのか?
入山:
私も還元主義側の古い研究者なので(笑)、どうしても「なぜ、この人とこの人はつながるの?」と考えて、心理的メカニズムなどの「ミクロ的な基礎づけ」などの積み上げがあった結果としてこうなっていると理解するわけですが、複雑系の人は「あるがまま」の事象として受け入れる印象があります。
佐山:
それはとても大事な話ですね。確かに、私は「Why?」という質問をしません。たとえば「このお茶はなぜおいしいのか」という問いになんて答えますか? 製法とか入れ方とか、お茶の苦みや旨みの量などの分析もできるし、単に「疲れていたから」かもしれない。「その場が楽しいから」といったコンテクストによるものも含め、100万通りくらいあるわけですよ。問うても意味がない。だから複雑系の人は単純な理由を求めない、という傾向があります。