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共創し学習する新しい組織論

硬直化したシステムを解体する「弁証法」、依存先を増やす「反脆弱性」という態度

鼎談ゲスト:コーン・フェリー・ヘイグループ株式会社シニアクライアントパートナー 山口 周氏 vol.3

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 本シリーズでは、2007年の創業時から新しい経営方法を追求してきたダイヤモンドメディア株式会社の武井浩三代表取締役と、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行う宇田川元一氏(埼玉大学 准教授)が、これからの組織とそこに近づく方法について様々な方と語り合う。今回は著書、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』が話題の山口周氏を迎えた。全4回中3回目の本記事では、歴史を知ることが美意識に及ぼす影響が語られた。

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“守破離”の先にある、原点回帰と弁証法的発展──教育は「寺子屋型」が新しい?

山口(コーン・フェリー・ヘイグループ株式会社シニアクライアントパートナー)
 システムというのは、その時代の色々な制約に最適化される形ででき上がっているんですよね。例えば教育制度、あれは明治時代に日本が近代国家になるにはどういう仕組みがいいかと考えて、“教育の大量生産”をしようという方向に行ったわけです。早熟な子もそうでない子も、みんな7歳になったら学校に集めて同じカリキュラムで教えて、1年間消化したら2年生の工場に送られる、そういうシステムです。ところが、その前の時代の寺子屋というのは全然そうではなくて、「この子はすごく早熟だから5歳で入れよう」という家もあれば、「この子はちょっとボンヤリしているから8歳になったら入れよう」という家もある。入ってからも、その子の進み方に応じて手厚くやっていくというやり方だったんです。

宇田川(埼玉大学 人文社会科学研究科 准教授)
 そうですね。

山口
 例えば今、フィンランドではまさに江戸時代と同じことをやっているわけですよね。自宅でITを使って課題をやり、分からないことを学校の先生に聞くというスタイルで、早い子はどんどん進めればいいし、遅い子は遅い子なりの進め方でやってきなさいと。だから、学校で一人ひとりがやっていることはバラバラです。だからこそ人が先生をやる意味がある。大量生産するならITの方が向いているので、カリキュラムの消化はITでやって、その子なりの分からないところを解説するのが先生の仕事。まさに寺子屋の仕組みなんですよ。ITが出てきて、寺子屋型が効率よくできるようになったので、また昔のシステムに戻っているわけです。

 時代の要請に合わせて国民皆教育、義務教育の学校というシステムが作られてから、まだ100年くらいなんですよね。目の前の現実やシステムを、僕らは常識だと思っていますが、長い歴史を知っていることで「なんでこうなっているんだっけ?」と問うことができたりするんです。アウフヘーベン(弁証法)は螺旋状で発展すると言いますよね。だから、上から見ると原点回帰のように見えます。「それぞれの子どもの進み方に応じてやりましょう」という原点があって、「それは効率悪がいから、みんな同じ年齢になったら同じカリキュラムでやりましょう」という方向に進んだのが、また「進み方に応じて一人ひとり変えましょう」と元に戻ったように見えますが、螺旋なので、横から見ると上に向かっているんです。

武井(ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役 共同創業者):
 モンテッソーリとかサドベリーのような、オルタナティブ教育も増えていますよね。

山口
 今のシステムを相対化して見ようとしたときに、歴史を知らないとそもそもの原点が分からないですよね。守破離というときにも、目の前の常識である“守”を“破る”、あるいは“離れる”ときに、離れていく先は、実は200年前のシステムである可能性もありますね。

山口 周山口 周 氏(コーン・フェリー・ヘイグループ シニア・クライアント・パートナー)
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『天職は寝て待て』など。神奈川県葉山町に在住。

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