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デザインシンカーの時代に考える、デザイナーの価値

トップクリエイティブにみられる「一流の好奇心」──デザインは“職能”でなく“生き方”

第3回

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 曖昧がゆえに、これまでまともな議論がされずにいた「デザイナーの曖昧な価値」を取り上げる本連載。前回は「感性」を切り口に、デザイナーだからできる情報収集について話した。今回は「好奇心」を軸に話を進めたいと思う。ウィキペディアによれば、「ものごとを探求しようとする根源的な感情」と定義される好奇心。もちろん、好奇心は誰にでもあるものだが、デザイナーであるならば“子供に勝るような好奇心を持ちたい”という期待を込めて話を進めたいと思う。

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クリエイティブに“好奇心”が欠かせない「3つの理由」

 10年間、ロンドンのデザインコンサル「シーモアパウエル」で仕事をする中で、クリエイティブワークには好奇心は欠かせないと確信してきたが、それを言語化することはなかった。今回の記事では、クリエイティブに欠かせない好奇心を、以下3つの項目に整理した。

  1. 好奇心は「発想」の燃料(没頭)
  2. 好奇心は「推進」の燃料(実体験)
  3. 好奇心は「チーム」の燃料(共感)

 デザイナーの役割は年々広義になっているが、本来は「新しい価値を発想する職業」であり、「無数の要素を頭の中で創造的に統合する」という仕事である。

 この一連の活動には2つの大切な要素が含まれる 。1つ目は、「質の高い情報の収集」で、これは前回の記事で書いた通りである。そして2つ目は、対象に異常なまでの興味を持つことで起こせる「没頭」である。脳がアドレナリンとドーパミンで満たされ、8時間を一瞬に感じたり、気づいたら全身冷え切ってたり、気づいたら朝だったり、といったものである。

 私が尊敬する英国人デザイナーが、深夜2人で黙々と作業していた時に、「デザイナーが気にしなかったら、こんな細かなディテール、誰も気にしない」と言っていた。強い興味がなければ、深夜2時に、ある製品の裏側の造形をミリ単位で調整する、みたいなブラック作業を続けられるわけがない。逆に興味があれば、アウトプットや思考を周囲が唸るレベルまで引き上げることが出来るのだ。

 先週末、ある商品コンセプトの詳細設計について専門家に2時間話を聞くために、わざわざミラノまで行ってきた。一般の人が見たら「間違い探し」レベルのマイナーなディテールについて、専門家に様々な質問を投げかかる。事前にインタビューガイドを作りながら「好きじゃなかったら絶対無理だわ」と感じていても、インタビューが始まってしまえば楽しくて没頭。2時間は一瞬なのだ。類まれな商品コンセプトや、研ぎ澄まされたディテールは、没頭から生まれるのだ。

タイトル写真:ワークショップは没頭する作業の典型。全体のフレームだけは事前にしっかり決め込んで、当日はひたすらアイデア出しに没頭。

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この記事の著者

池田 武央(イケダ タケヒロ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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