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デザインシンカーの時代に考える、デザイナーの価値

Panasonicの社内デザイン組織FLUXに訊く、経営や事業へ貢献できるクリエイティブとは?

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 「コンセプトモデルのデザインではなく、クリエイティブ職能として経営や事業に直接コミットしたい」。そう語るのは元シーモアパウエルのデザインストラテジストで2018年4月からパナソニック株式会社※でクリエイティブディレクターを務める池田武央氏である。池田氏は「FLUX」と呼ばれるチームを作りデザイン組織の強化を進めている。FLUXには、日本企業がグローバルプレゼンスを勝ち得ていくためのヒントがあるのではと考え、FLUXメンバーに編集部が話を聞いた。 ※パナソニック株式会社アプライアンス社デザインセンター デザイン統括部 

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新規事業ドライブに欠かせない、H型クリエイティブの存在

Biz/Zine編集部・栗原(以下、編集部):前回の記事では、FLUXは、インハウスデザイン組織強化に欠かせない多様化を牽引しているという話を聞きました。多くの日本企業がこれからの方向性を模索するなかで、FLUXがどんなメンバーで構成されているか、気になる人は多いと思います。池田さんが2013年より提唱するデザインの4ステップ、「気づく、考える、作る、伝える」に沿ってご紹介いただけないでしょうか。

池田武央さん(以下、敬称略):現在、京都、東京、ロンドン合わせて約15名で構成されるFLUXですが、今日は私も含め7人が集まっています。3人の欧州人のうち、1人は正式なメンバーで、2人は外部パートナーです。それぞれに経歴や担当を話してもらいます。「気づく」の部分にはインサイトリサーチャーとして豊島靖子さんに入ってもらっています。

池田武央池田武央さん | パナソニック株式会社 アプライアンス社 デザインセンター / デザイン統括部(FLUX)クリエイティブ ディレクター

豊島靖子さん(以下、敬称略):新卒でパナソニックに入社して、社内コンサルティング部門(スペース&メディア創造研究所)で働いてきました。最初は自社技術の用途開発のテーマを考えたり、生活研究などをベースに未来の暮らしを提言したりする仕事が多かったのですが、次第に求められることが変わってきました。今は新規事業立案のビジネスモデルも書くようになっています。自分の職域を広げる必要性を感じながら仕事をしてきました。池田さんがデザイナーとして、最初はプロダクトデザインをやっていたけど、今はビジネスのビジョン立案に携わるようになったと話していますが、それに通ずるものを感じます。

豊島靖子豊島 靖子さん | パナソニックアプライアンス社 デザインセンター デザイン統括部 (FLUX)インサイトリサーチャー

池田:豊島さんは2017年に法務省に採択された、羽田空港の顔認証ゲートの担当者です。

編集部:羽田空港の顔認証ゲートは国内外の主なベンダーが入札に参加しているなかで、30年の監視カメラ技術を持つパナソニックが使いやすさを重視した提案を行って、受注を勝ち取ったんですよね。

豊島:はい。法務省さんの入札案件でした。営業チームと一緒に法務省に伺って抱えている課題をヒアリングし、プロジェクトを作って、最後の入札書を書くところまで携わりました。当社は「高齢者でも使いやすい」というコンセプトでゲートを作っているのですが、国の案件では特にエビデンスが非常に重要になってくるので、しっかり戦略的に調査を重ね、エビデンスを提案書に盛り込みました。

池田:豊島さんの役割は「気づく」、つまり、新規事業に欠かせない情報の収集と分析を担っています。彼女のスキルは広く、実質「気づく」から「伝える」まで全部の領域を高いレベルでカバーしている超優秀な人材です。成功体験も持っていますし、社内に強いパイプもあります。新規事業に最も重要な、ドライブ機能そのものです。

編集部:まさに複数の専門性を持ち広範囲の領域をカバーできる「H型人材」ですね。

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