「自分探し」よりも「何かをつくっていく」ことから
林口氏は、社会的評価から離れて、心の赴くまま創造的な時間を持つことを、若い世代にも伝えたいという。松本氏も「若い人から『何をするべきなのか』と相談される際には、自分自身が幸せを感じられるような『好きなことをすればいい』と伝えています」と語る。
法話ではよく「自己中心的なことをするな」と言われますが、今のような社会システム自体が信じられない時代では、若い人たちが萎縮しています。クリニックにセラピーを受けるようなつもりで、むしろもっと自己中心的に好きなことをする時間を持つべきだと思います。(松本氏)
一方、学生と触れ合う機会が多い井庭氏は「好きなことをやる」ということについて、村上春樹氏が「自分らしく」「自己表現」という考え方は”呪い”だと語っているという話をよくするという。自分のなかに自分らしさを探していっても、そんなものは見つからない。そうではなく、自分らしさというものは、自分がつくってきたものに自然と反映されるというものだという。その意味で、「自分探し」をするのではなく、何かをつくっていく、ということが自分らしさに出会うための最善のアプローチになる。
さらに林口氏は自身を振り返り、「高校時代にオウム事件があり、価値観を植え付けられることに対する強い反発を持っていた」と語る。