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働き方改革が従業員の働きがいを低下させる──メンバーシップ型とジョブ型の違い、企画型人事

SmartHR Next セミナーレポート

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 9月13日に、多様な働き方と生産性向上の実現を目指す経営者や人事部が集まった「SmartHR Next」が開催された。  今回は「働き方改革を成功に導く人事部の役割」として、産業医の大室氏、デロイトトーマツ シニアマネージャーの田中氏、経済産業省 産業人材政策室の白石氏、そしてモデレーターを務めたat Will Workの藤本氏によるパネルディスカッションの様子をお届けする。

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働き方改革が従業員の“働きがい”を低下させている――企業と従業員の敵対関係とは?

藤本あゆみ氏(一般社団法人at Will Work 代表理事、以下敬称略):「働き方改革」という言葉を耳にする機会が増えたと思いますが、企業での状況はどうなっているのでしょうか。

田中公康氏(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ヒューマン キャピタル ディビジョン シニアマネジャー、以下敬称略):働き方改革には大きく3つのステップがあります。

  1. コンプライアンスの徹底(残業や過重労働の規制)
  2. 既存業務の効率化(既存業務の効率化につながる取り組み)
  3. イノベーションの誘発(事業のさらなる発展を目指したイノベーション誘発の取り組み)

残念ながら、ほとんどの会社は1.の段階で、時間、工数、人数といった“投入リソース”の抑制にとどまっています。そのため、短時間で成果を出すことのみを迫られる従業員の働きがいは低下しています。実際、生産性と従業員の働きがい向上の効果を実感している企業は3割で、7割の会社が従業員の満足を得られていません。

藤本:働き方改革に取り組むにあたり、KPIを設定しておらず、モニタリングができていない企業が多いですよね。なぜこういった企業が出てくるのでしょうか。

田中:仕組み作りばかりにフォーカスがあてられるからです。例えば、在宅勤務の制度を作ったものの、ほとんど使われていないというケースもよく聞きます。これは、目的があいまいだからです。「A社がやっているからうちもやろう」と制度を導入するが、従業員が使いやすいか、会社の業績は上がるのかといった本質的な目的が抜け落ちていることが多いと思います。

藤本:「働き方改革」を進めている経済産業省としては、この現状をどうみているのでしょうか。

白石紘一氏(経済産業省 産業人材政策室 室長補佐 弁護士、以下敬称略):規制強化が先行するあまり、それ自体がゴールになってしまっています。そのため、企業と従業員が敵対関係になり、win-winの関係になっていません。残業せず早く帰ることは大事だと思います。しかし、次のステップとしてやるべきことはあるし、企業は働き方改革のゴール設定を間違ってはいけない。政府としてもそう考えています。

藤本:企業への「働き方改革」に関するアンケートで、業務に関する項目以上に「従業員の心身の健康の向上」を目的に置いているのが個人的に意外でした。大室先生は産業医としてどう感じますか?

大室正志氏(医療法人社団同友会 産業保健部門 産業医、以下敬称略):まず、医者としての教科書的な正解は「心身の健康の向上以上に優先すべきものはない」です。おそらく企業は。過重労働によるうつ病や過労死というリスクを回避したいと考えているのだと思います。

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