「新しい知、新しい運動を取り込むことで、ALifeを新生させられるんじゃないか」──ALife 2018の始まり
そして2018年7月。ロスアラモスでの国際会議からさらに31年を経て、人工生命国際会議「ALife 2018」が東京で開催された。1987年以来、これまでALifeカンファレンスを毎年交互に開催してきた米国と欧州の学会が統合されることが昨年決まり、統合後初となる会議の開催地として選ばれたのが、ここ東京だった。
「新しいALifeがつくれるかもしれない」。ALife 2018の実行委員長を務めた複雑系科学/ALife研究者で東京大学教授の池上高志は、開催前にそう語ってくれた。池上によれば、ALife研究はさまざまなコンセプトが生まれた90年前後以降、約20年の間ほとんど進歩がなかったという。「2008年にイギリス・サウサンプトンで行われた国際会議でぼくは『Artificial Life is Dead(ALifeは死んだ)』という基調講演をしたんだけど、実際にそう思っていた」