岡田氏が語る、AIの社会的実装のための“テクノプレナーシップ”
未来はもう既にここにある。ただ均等に普及していないだけだ。
SF作家ウイリアム・ギブソンの引用からセッションがはじまった。
AI/ディープラーニングのトップランナーとして注目される株式会社ABEJA。その代表取締役社長の岡田陽介氏は、コーポレートメッセージとして掲げた“ゆたかな世界を、実装する”を実践する上で、“テクノプレナーシップ”の重要性を強調する。ABEJAの定義する“テクノプレナーシップ”とは、アントレプレナーシップを原動力に、テクノロジーによるイノベーションとリベラルアーツによる問いを循環させ、非連続な社会改革を実現させるというもの。冒頭の言葉にある“既にある未来”を実現するものだ。
その“テクノプレナーシップ”に則り、AIやディープラーニングが今扱うべきテクノロジーとして重要なのか。その理由として、岡田氏は日本の経済成長を取り上げて説明する。日米を比較したとき、GDPに対するICTへの投資割合は、同等か日本がやや勝る。しかし、順調にGDPを成長させてきた米国に対して、日本は低迷を続けている。これはいったいなぜか。その理由を示唆するものとして、岡田氏は、かつては日本企業が占めていた企業時価総額ランキングの上位を、AmazonやGoogleなどAIに投資している米国のIT企業が席巻していることを紹介。岡田氏はAIへの投資の少なさを懸念し、同時にポテンシャルの大きさを強調した。
AIとディープラーニングはガートナーのハイプサイクルでいえば、幻滅期に入りつつあるといわれていますが、真価は十分に理解されています。これからは実際に実装するために仕組みとしてのAI PaaSなどが多数登場し、これから社会実装のピークに向かってくると考えられています。
そうしたピーク到来に先駆け、ABEJAは2012年9月の創業以来、AI/ディープラーニングの研究に注力し、投資をし続けてきた。2018年2月の「ABEJA SIX2018」でマイルストーンともいうべきAI PaaS(Platform as a Service)「ABEJA Platform」を発表し、様々な産業や企業へAI実装を実現させてきた。