既存の小売業を破壊する「アマゾン・エフェクト」の拡大
25年前に書籍のネット販売からスタートしたアマゾンは、今や書籍にとどまらず、衣料品や日用品、食品など2000万以上とも言われる商品を扱うようになり、クラウド事業なども合わせた2018年の売上は2329億ドルにも及びます。この急成長は、アメリカの小売業者に対して大きな影響を及ぼしてきました。アマゾンが市場に及ぼした影響を「アマゾン・エフェクト」と呼びます。
アマゾン・エフェクトが原因で行き詰ったアメリカの小売業者としては、子供玩具のトイザらスや、総合スーパーのシアーズがあります。トイザらスは2017年9月に、シアーズは2018年の10月に、日本の民事再生法に相当する連邦倒産法第11章を申請しました。特にトイザらスは2018年にはアメリカの店舗をすべて閉鎖し、従業員33,000人を含む多くの人の職に影響を与えました。小売業が打撃を受けると、納入している製造業者など、周辺の業界にまで影響を及ぼします。
トイザらスやシアーズ以外にも、アパレルの小売業者として有名なギャップは今年の2月に分社化し、業績が冴えないギャップとバナナ・リパブリックを中心に今後2年で230店舗を閉鎖する予定と発表しました。ギャップは、日本でも2017年にオールド・ネイビーというブランドを撤退し、約50店舗を閉鎖しています。
今後、日本の小売業界にも深刻なアマゾン・エフェクトが発生するとすれば、有効な防御手段はあるのでしょうか。