日立ハイテクノロジーズの新規事業「みんさく」とは
「みんなの試作広場」(以降、通称の「みんさく」)は、R&Dの最上流にいる人向けのメディアである。「材料選定のノウハウやポイント、材料や加工技術の基礎知識や最新情報をご紹介するモノづくりに関わる“ひと”と“未来”をつなぐWebメディア」を標榜し、材料・加工・計量の3領域に関する3,000字から4,000字の記事を、月に10本弱公開している。
その内容は、「トラブル回避のために知りたい「製品の寿命」~プラスチックの劣化原因と寿命予測の実験方法を紹介~」「押さえておきたい金属3Dプリンターの基礎知識~造形原理や原料からメリット・デメリットまでを簡単紹介~」「ばねのことなら何でもお任せ!プロに聞くばね発注までのながれと一歩先行くアキュレイトの提供サービス」などというように、若い研究者がものづくりに取り組む際に突き当たるであろう困難に対する解決策や、世にあまり知られていない優れた技術やサービスの紹介などである。
このメディアは2017年11月27日に17本の記事とともにオープンした。当初はあえて日立ハイテクノロジーズの社名を出さずに運営をしていた。それは、日立のブランド名によって色がつくのを避けるためである。その状態でも2018年3月までの4カ月で累計11万PVを達成。2018年12月の段階では100記事程度までコンテンツを増やして月10万PVを獲得し、記事掲載を希望するクライアント企業もつくメディアになったという。
サイトの主な流入経路はGoogle検索である。
研究者も人手不足になっていて、昔だったら『こういう技術があるよ』『こういう商材がほしいなら、あの企業に頼めばいいよ』と人を介して伝達されていた情報が届いていないように思います。そういった基礎情報やサービスを私たちがサイトで公開しているので、試作で困ったR&D担当者などがGoogleで検索してたどり着いてくれる。そして、1記事10分ほどかけてじっくり読んでくれるのです
と、「みんさく」の編集を担当するイノベーション推進本部デジタルトレーディングビジネスユニット主任技師の向尾将樹氏は話す。
この「みんさく」、新規事業の社内公募制度にエントリーしたのは2017年度であり、当初はメディアを立ち上げるつもりではなかったという。非常に短期間で立ち上がり、ビジネスユニットとして活動するまでになった「みんさく」の背景には、日立ハイテクノロジーズならではの新規事業創生の取り組みがあった。