「ものづくり×商社」の日立ハイテクが、研究開発者向けメディア「みんなの試作広場」を立ち上げた理由

第2回ゲスト:株式会社日立ハイテクノロジーズ イノベーション推進本部

 日本企業の新規事業の“現在地”を編集部インタビューにより明らかにする本連載。事業会社の新規事業の取り組み、事業会社を支援するコンサルティング会社の活動から、「イノベーション創出の課題」や「ロールモデル」を“ファイリング”していきます。
 株式会社日立ハイテクノロジーズが新規事業として立ち上げた「みんなの試作広場」が順調だ。「みんなの試作広場」、通称「みんさく」は、研究・開発従事者向けのWEBメディアであるが、日立ハイテクノロジーズは半導体関連装置等を手がけるR&Dを中心としたものづくり企業である。そんななかで異色とも言える「みんさく」を立ち上げた経緯はどういったものなのだろうか。編集部が話を聞いた。

[公開日]

[聞] 栗原 茂(Biz/Zine編集部) [取材・構成] フェリックス清香 [写] 長谷川 梓

[タグ] 事業開発 アイデア創造 研究開発 イノベーション ものづくり

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日立ハイテクノロジーズの新規事業「みんさく」とは

 「みんなの試作広場」(以降、通称の「みんさく」)は、R&Dの最上流にいる人向けのメディアである。「材料選定のノウハウやポイント、材料や加工技術の基礎知識や最新情報をご紹介するモノづくりに関わる“ひと”と“未来”をつなぐWebメディア」を標榜し、材料・加工・計量の3領域に関する3,000字から4,000字の記事を、月に10本弱公開している。

タイトルみんなの試作広場

 その内容は、「トラブル回避のために知りたい「製品の寿命」~プラスチックの劣化原因と寿命予測の実験方法を紹介~」「押さえておきたい金属3Dプリンターの基礎知識~造形原理や原料からメリット・デメリットまでを簡単紹介~」「ばねのことなら何でもお任せ!プロに聞くばね発注までのながれと一歩先行くアキュレイトの提供サービス」などというように、若い研究者がものづくりに取り組む際に突き当たるであろう困難に対する解決策や、世にあまり知られていない優れた技術やサービスの紹介などである。

 このメディアは2017年11月27日に17本の記事とともにオープンした。当初はあえて日立ハイテクノロジーズの社名を出さずに運営をしていた。それは、日立のブランド名によって色がつくのを避けるためである。その状態でも2018年3月までの4カ月で累計11万PVを達成。2018年12月の段階では100記事程度までコンテンツを増やして月10万PVを獲得し、記事掲載を希望するクライアント企業もつくメディアになったという。

 サイトの主な流入経路はGoogle検索である。

研究者も人手不足になっていて、昔だったら『こういう技術があるよ』『こういう商材がほしいなら、あの企業に頼めばいいよ』と人を介して伝達されていた情報が届いていないように思います。そういった基礎情報やサービスを私たちがサイトで公開しているので、試作で困ったR&D担当者などがGoogleで検索してたどり着いてくれる。そして、1記事10分ほどかけてじっくり読んでくれるのです

と、「みんさく」の編集を担当するイノベーション推進本部デジタルトレーディングビジネスユニット主任技師の向尾将樹氏は話す。

タイトル株式会社日立ハイテクノロジーズ イノベーション推進部 デジタルトレーディング ビジネスユニット 主任技師 向尾(むこお) 将樹氏

 この「みんさく」、新規事業の社内公募制度にエントリーしたのは2017年度であり、当初はメディアを立ち上げるつもりではなかったという。非常に短期間で立ち上がり、ビジネスユニットとして活動するまでになった「みんさく」の背景には、日立ハイテクノロジーズならではの新規事業創生の取り組みがあった。

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