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石井食品の遺伝子はイノベーション体質──石井社長が「経営にアートが必要」だと考える理由とは?

石井食品株式会社 代表取締役社長執行役員 石井 智康氏 【前編】

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 今回は、『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者で、絵を描くワークショップを通じて右脳と左脳の両方を活用する方法を伝授する増村岳史氏と、石井食品の社長に昨年就任した石井智康氏の対話を前後編でお届けする。前編では、現在を第四創業期と位置づけた石井食品のチャレンジの話から、ITエンジニアだった石井氏が経営にはロジックだけでなく感性やアートの視点が必要だと考える理由が語られた。

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創業家という環境で無意識に身についていた“経営者的思考”

増村岳史氏(アート・アンド・ロジック株式会社 取締役社長、以下敬称略):石井さんには私の講座を受けていただいたこともあり、もう何年ものお付き合いですが、あらためてご経歴を伺えますか。

石井智康氏(石井食品株式会社 代表取締役社長執行役員、以下敬称略):石井食品は僕の祖父母が作った会社で、父が会長をやっています。創業家で育ったのですが、会社に入るつもりは全くありませんでした。

 大学は早稲田からアメリカの大学に編入し、文化人類学や歴史学を学んでいました。アメリカではいろいろな科目が取れるので数学やプログラミングも勉強し、帰国後にアクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(現在はアクセンチュアに統合)でエンジニアとしてキャリアをスタートしました。

 その後はいくつかのベンチャーで働いた後、フリーランスのエンジニアとしてスタートアップのサービス開発、スクラムマスターやアジャイルコーチとしてアジャイル開発を広める活動をしていました。いろいろな経緯があって2年前の4月に石井食品に入り、2018年から新米社長をやらせていただいています。

増村:創業家で育ったことで、どんな影響を受けましたか?

石井:母方も父方も祖父が経営者だったので、うちにはドラッカーの本なんかもたくさんあったし、“経営者的思考”というものはあったでしょうね。サラリーマン時代から「会社全体で考えたらどうなんだろう」ということはよく考えていて、なんとなくですが、それが自分の武器なんだろうとは思っていました。

増村:僕はアーティストの家系だったので、石井さんとは真逆ですね。家にあるのは画集ばかりで、ドラッカーのドの字もなかった。でも、美大だけは行きたくなくて、つぶしが利きそうな経済学部経済学科に進みました。

石井:僕は会社を継ぎたいという意思がなかったから、大学でも経済学やビジネスを学ぼうという気は全くなかったんです。本当に逆ですね。

石井 智康石井食品株式会社 代表取締役社長執行役員 石井 智康氏
ソフトウェアエンジニアとして、コンサルティング会社にて大企業の基幹システムの構築やデジタルマーケティング支援に従事。2014 年よりフリーランスとして、アジャイル型受託開発を実践し、ベンチャー企業を中心に新規事業のソフトウェア開発及びチームづくりを行う。2017 年から祖父の創立した石井食品株式会社に参画。地域と旬をテーマに農家と連携した食品づくりを進めている。現在のライフスタイルに合った「豊かな食」のあり方を模索中。認定スクラムプロフェッショナル。アジャイルひよこクラブ幹事。

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