50の新規事業を手がけた守屋実氏が語る、大企業の新規事業開発「構造的問題」と「担当者の心得」

第1回ゲスト:守屋 実氏【前編】

 本連載「Biz/Zine Career」は、これからのキャリアを考える上でロールモデルとなる方へのインタビューを通じ、日本企業の人材面での活性化や人生100年時代を生き抜くキャリアを体系化していくことを目指しています。
 第1回ゲストは、これまでに実年齢と同じ50の新規事業を立上げてきた新規事業のプロで、今年5月に『新しい一歩を踏み出そう! 会社のプロではなく、仕事のプロになれ! 』を上梓された守屋実さんです。前編では、学生時代の起業を経て、2つの会社で一貫して新規事業開発を担当してきたことで得たもの、日本企業の新規事業開発の問題点とそれを突破するための心構えについて伺いました。

[公開日]

[語り手] 守屋 実 [聞] 栗原 茂(Biz/Zine編集部) [取材・構成] やつづかえり [写] 和久田 知博

[タグ] キャリア イントレプレナー 事業開発 新規事業開発 アントレプレナー

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学生時代の起業経験で“躊躇なく動くこと”を体が覚えた

──守屋さんは学生時代に起業を経験されているということですが、どんなことをされていたのでしょうか?

守屋実氏(株式会社守屋実事務所、以下敬称略):当時はバブルの頂点の時代で、大学生という存在自体に価値があったんです。東京の大学1〜2年生がディスコを借り切ってパーティをしたり、バスをチャーターして大人数でスキーに行ったりといったことが、派手に行われていました。その頃、都内のディスコを全部借り切る権利を持っている大学生というのが7〜8人いまして、そのうちのひとりが身近な先輩でした。僕は、その人にくっついて回っているうちに利権の渦の中にうまく入り込み、色々やるようになったんですよ。

 起業といっても、最近の大学生たちが志を持って会社を立ち上げるのとは全然違いました。いろいろ派手なことをやるために企業の協賛金を集めるんですけど、大学生の普通口座には振り込めないから株式会社にしてくれと言われ、インターネットのない時代なので本で会社の作り方を調べ、法務局に行くと「1000万なきゃダメだ」と言われ……、そんなレベルでの起業です。スタートはサークルみたいなノリでしたが、時代が時代だったので色々なことにチャレンジできて、年商1億くらいは稼いでいました。

──その経験から、どんな学びがありましたか?

守屋:ありました。とにかくどんどんやるということを、理屈や理論ではなく体が覚えたという感じです。今日より明日は必ずいいことがあると思える時代でしたから、連敗してもそれから連勝すればいいという空気だった。とにかく突き進むということを体で覚え、躊躇なく動けるようになったのは、一番の学びだったと思います。

──今の若い人はよく学んでいますが、理屈が先に立つ分、かえって動き出すのが難しいところがありそうです。

守屋:親指一本で、情報はいくらでも入手できますからね。頭でっかちにはなるけれど、足腰が弱いからフラフラしてまっすぐ歩けません。今の時代は生きているだけで頭でっかちになっちゃうので、努めて足腰を鍛えるくらいがちょうどいいのだと思います。僕が学生だったときは、努めて学ばないとダメだった時代でした。どちらもバランスよくやる必要がありますね。

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