試着が実店舗とECをつなぐ。試着シェアアプリfitomが狙うアパレルの“新しい購買体験”とは

第6回ゲスト: 株式会社 fitom 安藤望氏、村上悠氏、原康人氏【前編】

 ECでの購買は、世の中で定着している。しかし、そのなかで、アパレルのECには今も抵抗感を持つ人が少なからず存在する。同じLサイズでも、ブランドによって実際のサイズが違う。シルエットも違えば、写真だけでは素材感がわからない。結局、不安を解消できずに店舗で買うことになる。そんな不便を解消するサービスが生まれた。試着シェアアプリ「fitom」だ。このfitomを生み出したのは、ユナイテッドアローズ(UA)と博報堂DYメディアパートナーズ、そしてビジネスコンサルティングのシグマクシスだ。今回はその三社が人材を送り出して設立した、株式会社fitomの三名に話を聞いた。

[公開日]

[語り手] 安藤 望 村上 悠 原 康人 [聞] 栗原 茂(Biz/Zine編集部) [取材・構成] 里田 実彦 [写] 長谷川 梓

[タグ] 事業開発 企業戦略 顧客体験 EC CX

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試着シェアアプリ「fitom」は、テクノロジーありきではなく実店舗の強みをECと結びつける

──まず、5月にリリースされた「試着シェアアプリfitom」について、どのようなサービスかお聞かせください。

株式会社 fitom執行役員UX本部長 村上悠氏(以下、敬称略):まず背景から説明すると、アパレル業界では実店舗がまだ販売の中心になっています。ネット通販も伸びてはいますが、いろんな商品を通販で購入する方でも、アパレルだけは実店舗でないとダメだという人が少なくありません。その理由として「サイズがわからない」「着用イメージがわからない」「素材感がわからない」といったことが挙げられます。

 ECではたくさんの商品写真がアップされていますが、モデルの写真と自分では違うということが、“実店舗派”がECのみで購入しない要因となっています。我々がリサーチを進めていくと、ECで商品をチェックしたのち、サイズ、着用イメージ、素材感を確認しに実店舗に足を運ぶという行動が見えてきました。そのまま店舗で商品を買うこともあれば、試着だけして帰宅しECで買うという人もいます。いずれにせよ、購買行動において、意思決定プロセスの中核に実店舗がハブとして存在していました。

村上 悠株式会社 fitom執行役員UX本部長 村上 悠氏
広告代理店を経てユナイテッドアローズに入社。広告宣伝職、UA LTD.ハウスカードのサービス開発、CRMシステム開発、新規事業開発、海外進出などのプロジェクトに従事。「試着の価値」に着目し fitomを考案。

──ECであっても、実店舗での試着が欠かせないということでしょうか。そうなると、例えば、AIや画像のリアルタイム加工技術を使って、自分の写真と服の画像を合わせる「疑似試着サービス」といったことも考えられそうですね。

村上:そういったテクノロジーありきの発想ではなく、お客さまの行動、ニーズに即したものにしたいと考えました。実際のところ、他社のサービスでそういった疑似試着サービスは過去にもありましたが、どれも定着していません。テクノロジーありきでは、きっとお客さまのニーズに応えられていないのだと思います。

 そこで、アパレルの購買に欠かせない「試着」を共有するアプリケーションサービスを開発したのです。店舗に行けないがECで買いたい人が「この服を試着して欲しい」とリクエストする。すると店舗に来ている人、あるいは店舗スタッフが実際に試着してその写真をアップする。素材感などの質問もやり取りする。「fitom」は、一種のコミュニケーションアプリで、ECでのネックとなっている「サイズがわからない」「着用イメージがわからない」「素材感がわからない」という課題を解決していこうとするものです。

fitomfitomホームページ https://www.fitom.jp/

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