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未来のイノベーターは「編集者」である──ビジネスデザイナー岡橋惇氏、佐々木康裕氏、岩嵜博論氏が語る

ゲスト:BCG Digital Ventures シニアストラテジックデザイナー 岡橋 惇氏

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岡橋氏が感じた、クリエイティブとビジネスの価値観の違い

 イベントはまず、その後の鼎談に深く関わる、岡橋氏の経歴紹介から始まった。

 岡橋氏は2001年、中学生の時点でイギリスに渡っている。入学したのは400年の歴史を持つ学校だ。岡橋氏は初めて日本人男子として同校で学んだ。彼以外はほぼ全員白人のイギリス人という環境でマイノリティーとして生活したことによって、ダイバーシティを深く意識するようになったという。

 その後、岡橋氏はUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)心理学部に進学。2008年在学中にインターンとしてグローバルメディアブランド『MONOCLE』の編集長タイラー・ブリュレ氏のアシスタントを務め、そこからキャリアをスタートさせている。

 MONOCLEは国際情勢とビジネス、カルチャー、デザインの現在地がわかるメディアブランドであり、世界各国で読まれている。同社は雑誌刊行だけでなく、Podcastを早い段階から使ってマルチメディア化し、ECサイトを運営したり、書籍出版、カフェ展開、カンファレンスを主催したりと、さまざまな活動を行う。さらに、ブランドコンサルティングを行うクリエイティブ・エージェンシーWinkreativeも持つのも特徴的だ。

 インターン後、岡橋氏は大学に戻ったのち、Winkreativeに入社し、ロンドン・香港・東京で働く。この時代に関わったプロジェクトとしては、トヨタ・レクサスのグローバル・ブランディングがある。このプロジェクトで岡橋氏は

  • 車を販売しない、ブランド体験スペースのコンセプト立案と実行
  • ブランドの世界観を伝えるメディア作り
  • 将来第一線で活躍する若手クリエイターを発掘し支援するレクサス・デザイン・アワードの設立
  • 日本の匠、職人技を持つクリエイターと共に作り上げるプロダクトブランドの開発

等を、ストラテジーからエクスキューションまで担当した。また、モスクワに建設予定のプライベートジェット専用空港のビジョンデザインとブランドコンセプト立案や森ビルとともに未来の都市の姿を描くなど、クリエイティブ業界の比較的上流といえるところで仕事をしていた。

 2014年から2015年にかけて、岡橋氏はビジネスとクリエイティブが密接に関わり始めていることに気づく。そこで2016年、帰国してPwCコンサルティング合同会社に入社。クリエイティブ畑からビジネス畑への転身を果たしたが、両者の価値観が全く違うために最初は苦労したという。

 岡橋氏があげた具体的な価値観の違いは、たとえば次のようなものである。クリエイティブでは「とりあえず作ってみる」を重視し、実行と反復を繰り返す。グッドサプライズが価値になり、一次情報を重視する。一方でビジネスでは計画と管理が重視される。特に日本ではビジネスに不確実性を嫌い、一次情報を取りに行くよりは、手元にある情報を活用し仮説を構築する。岡橋氏は、「ビジネスデザイナーは、この2つをステージによってバランスよく使い分けていくことが必要です」と話す。

岡橋惇BCG Digital Ventures シニアストラテジックデザイナー 岡橋 惇(おかはし あつし)氏
UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)心理学部在籍中にグローバルメディアブランド『MONOCLE』でキャリアをスタートし、大学卒業後、デザイン・ブランドコンサルティング会社Winkreativeに入社し、ロンドン、香港、東京を拠点にグローバルで幅広いジャンルのクライアントのブランディング戦略策定やコンセプト立案、デザインコンサルティングプロジェクトを担当。2016年に日本に帰国後、外資系コンサルティングファームに移り、ビジネスコンサルティングにクリエイティブやストーリーテリングを取り込んだプロジェクトを展開。2019年からBCG Digital Venturesに参画し、グローバルトレンドリサーチや人間中心デザインの手法を用いた新規事業創出のプロジェクトに従事している。ビジネスxカルチャーをテーマにしたメディア『Lobsterr』の共同創始者。

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