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“事前アンケート無視”の商品開発──成功の鍵は「継承された哲学」と「業務の俯瞰力」にあり

ゲスト:株式会社キングジム 開発本部 商品開発部 田辺 賢一氏、東山 慎司氏【後編】

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従来型の事前アンケートとMakuakeの決定的な違いとは

──Makuakeでのクラウドファンディングの前に、コンセプトレベルでの事前アンケートやマーケティングリサーチは行ったんですか?

東山慎司氏(株式会社キングジム開発本部商品開発部 以下、敬称略):当社の商品開発ポリシーでもあるのですが、アンケートやリサーチなどの事前のマーケティング活動はしないんです。文具メーカーの商品開発は自動車などの新車種開発ほどの費用が掛かるわけではりませんし、従来型の事前アンケートで得られる回答内容は想像の範囲を超えないことが多いなと感じています。

東山慎司株式会社キングジム 開発本部 商品開発部 デジタルプロダクト課 リーダー 東山 慎司氏

田辺賢一氏(株式会社キングジム開発本部商品開発部 以下、敬称略):実際に商品を触れることがない事前アンケートで、これ欲しいですかと聞かれても、私はうまく回答する自信がありません。そのようなアンケートから収集される声は、あまり役に立たないと思っています。消費者へ新商品コンセプトをお聞きする受容性調査というものは行わないんです。ただ、「マメモ」などの既にリリースしている商品の不満を次の商品に反映することは重視しています。そのような声にプラスして、担当者自身がユーザーになって感じることを商品開発の段階で重視させるようにしているんですよね。

田辺賢一株式会社キングジム 開発本部 商品開発部長 田辺 賢一氏

──Makuakeは「テストマーケティング」に有効だと思うのですが、キングジムではどのような位置づけで捉えていますか?

田辺:Makuakeは私たちが必要としていた“本当の意味でのテストマーケティング”だと感じています。未来のお客さまへ、この新商品アイデアが良かったら買ってみませんか、という提案なんですよね。実際に買っていただく価値を感じていただけるか、その点が従来型のコンセプトを中心とした受容性調査とは決定的に違いますね。

木内:最近は、商品のコンセプト段階で、SNSなどの拡散がどうだったかを気になさる企業が増えています。Makuakeを運営して得られたことは、その一般的な関心とは逆で、SNSのいいね!数と実際の売上に相関がないことがわかったんですよね。SNSでバズっていても売れないものもあれば、話題にならなくても売れる商品もあるんです。マクアケが企業として重視しているのは、実際にクラウドファンディングで購入していただき、触れていただき、さまざまなフィードバックを得て、事業化・商品化に結びつけるということなんですよね。

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