セミナーレポート Biz/Zineセミナーレポート

三井物産とダイキンの合弁会社エアアズアサービスが「空調のサブスク」で生み出す顧客のメリット

Biz/Zine Day レポートVol.4 エアアズアサービス株式会社 大下泰典氏

 現在、様々な企業がサブスクリプションモデルへとビジネスを変革しようとしている。「事業を創るプロ集団」三井物産と、ダイキン工業株式会社のエンジニアリング会社である「空気のプロ集団」ダイキンエアテクノは、合弁で「エアアズアサービス株式会社」を設立。空調機器を販売するのではなく、快適空調空間を定額課金制で提供することを目的としている。空調のサブスクだ。
 サブスクリプションをテーマにしたBiz/Zine Day 2020 Summerでは、同社代表取締役社長の大下泰典氏が登壇し、事業モデルの詳細とサービスを利用する企業側のメリットについて語った。その内容を紹介する。

[公開日]

[講演者] 大下 泰典 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] ビジネスモデル IoT サブスクリプション

  • ブックマーク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

“意識されない”コストだからこそ顧客のメリットを生み出せる

 環境意識の高まりにより、フランスでは2030年までに既存のオフィスビルのエネルギー効率を40%改善する規制が2017年に制定されている。エネルギー効率化支援を事業として行う企業が各国で誕生しており、オフィスビルのエネルギーの効率化は世界的に注目されているテーマだ。三井物産はこの潮流に注目し、空調機器メーカーのトッププレーヤーであるダイキン工業とともに、2016年からエネルギーの効率化をサービスとして提供する事業に取り組んでいる。

 講演冒頭で、大下氏はこう語りかけた。

「オフィスの空調はあって当たり前のもので、日頃あまり意識せずに仕事をしている人も多いと思います。しかし、空調に不具合が起こる場合は大きなデメリットとなります。また、空調には、大きなコストがかかっています」

 その“コスト”とは、修理費、保守・維持にかかる人件費、機器購入費などである。空調は必要なタイミングで突発的に故障することも多い。あって当たり前の空調のため、その工事は緊急を要し、じっくり価格検討をしている暇はない。また、修理費は1件だと小額に見えても、積み上げると大きな金額になってくる。

 メンテナンスを担当する社員の存在もある。事業とは関係のない部分に人件費が支払われていることになる。加えて空調機器の法定耐用年数は13年。長くもったとしても、20年ほどに1度は空調機器を購入しなければならない。その際にはまとまった資金が必要になる。その額は、3000平米のオフィスの場合、億の桁に届くこともあるという。

 加えて、空調設備はほとんどの場合、オーバースペックの状態である。機器は夏の最も暑い日、空間に最大限に人が入った場合などの事態を想定して選定されているが、100%の力を発揮するのは1年に1回あるかないかである。エンドユーザーには、その機器を選ぶことが適切かどうかはわからない。また非効率な使い方をしていることも把握しづらい。

 こういった様々な困りごとを解決し、さらに顧客のメリットを生み出そうとしているのが、空調機器を販売するのではなく、10〜13年契約で空調を利用する権利を提供する、「エアアズアサービス(Air as a Service)」である。契約期間満了時には、顧客は機器の所有権を移動(残価がある場合は追加支払いが必要)するか、契約内容の見直しをした上でそのまま機器の寿命が来るまで利用することが可能だ。

バックナンバー