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第二創業~両利きの経営の先へ

「両利きの経営」は知識創造論ではなく、組織進化論である──組織カルチャーとリーダーの役割とは?

Vol.1-2:アクション・デザイン代表 加藤雅則氏、慶應義塾大学院 特任教授 梅本龍夫氏

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 「両利きの経営」理論をベースに日本企業の第二創業について検討していく本連載。初回はホストのお二人の対談形式でお送りする。前編では、日本企業が戦後の第一創業期以降、世界をリードすることができた理由、バブル崩壊からの失われた30年にはその良さを失ってしまった経緯について振り返った。後編では、『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』(英治出版)を共著で出版した加藤雅則氏の解説を中心に、「両利きの経営」がなぜ必要なのか、その理論を理解するためのポイントを抑えていく。

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「両利きの経営」を理解するポイント「組織能力」とは何か

加藤 雅則氏(アクション・デザイン代表 エグゼクティブ・コーチ、組織開発コンサルタント、以下敬称略):前回、既存事業を深掘りするときと新規事業を探索するときとでは異なる組織能力が必要であると述べましたが、ここでの「組織能力」とは何か。これは組織を4つの基本要素で説明する「コングルエンス・モデル」で考えるとわかりやすくなります。

両利きの組織をつくる図版出典(『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』)

 4つの基本要素とは、戦略を実行するための「KSF(Key Success Factor)」と、それを担う「人材」、体制や評価システムや意思決定プロセスなどの「公式な組織構造」、そして「組織カルチャー」です。前提には経営チームとリーダーシップがあり、戦略・目標に対してこの基本の4要素がうまく噛み合うことを「組織アラインメント(Alignment:整合性)が取れている」と言います。この状態になって、“組織能力を発揮できる”ということなんです。

 前回お話しした「サクセス・トラップ(成功の罠)」は、この4要素がピタッとハマって成功した後、時間の経過とともにこの組織の規模がどんどん大きくなり、「慣性の力」が働いて変われなくなるということです。

 新しいことをやるには、これまでとは別の戦略・目標に対してアラインメントの取れた組織が必要だということになります。つまり、既存事業に成功した組織と同じでは成功しえないのです。

両利きの組織をつくる図版出典(『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』)

 このこと自体は「両利きの経営」理論以前から言われてきたことで、ビジネススクールでは「経営トップがアラインメントを組み替えなければいけない」と教えていました。

 でも、「これだけ世の中の変化が激しくなっているのに、組織を組み替えていて間に合うの?」という疑問が残ります。特に大企業は、既存の事業が好調なうちに新たなビジネスの探索を始めていないと、どこかで新興企業にひっくり返されてしまいます。「イノベーションのジレンマ」ですね。そこでオライリー先生たちは、「組み替える」のでは間に合わないから日頃から同時に行うべきだという理論を打ち出した。それが「両利きの経営」なんです。

両利きの組織をつくる図版出典(『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』)

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