本サーベイ(回答企業数238社)では、現時点(2020年9月)で、雇用のあり方を「ジョブ型」または「どちらかというとジョブ型」へ変えていく企業は、管理職(ラインマネージャー)で現状の36%から3-5年後には過半数を超える56%に増加すること、また、ジョブ型雇用は非管理職へも拡大する傾向が顕著であり、非管理職(総合職)でも現状の25%から42%に増加することが明らかとなった。
「ジョブ型雇用」とは、「メンバーシップ型雇用」と対比される概念で、担うべきジョブを会社と個人が合意し、個人はそれを遂行し、会社はそれに見合った報酬を提供する雇用関係。
回答内容から明らかになったジョブ型雇用の方向性は以下のとおり。
雇用のあり方
日系企業・外資系企業を問わず、いずれの階層においてもジョブ型雇用へ移行する企業が増加するという結果が得られたことは、従来のメンバーシップ型雇用を維持することが困難となっている現状、それを見直す方向性が明らかになった。また、ジョブ型雇用を導入しようとする背景には、「職務の明確化による貢献度に応じた適正処遇」、「専門人材の育成」、「パフォーマンスカルチャーの醸成」などの実現を目指しているという結果が得られた。
報酬水準の決め方
現在、日系企業の5社のうち4社が、同一等級であれば職種に関係なく、同一の報酬水準を支給しているが、3-5年後には職種別、または個別のジョブごとに報酬水準を決定する企業の割合が2倍を超える大幅な増加となることが明らかになった。これに伴い、報酬ベンチマークの実施頻度も高くなり、3-5年後には、毎年または2-3年に1回程度ベンチマークを行う日系企業の割合が約半分を占める。
採用・異動と雇用調整のあり方
日系企業における新卒採用については、一括採用は減少し、職種別採用およびコース別採用の割合が増加、同じく雇用調整においては、PIP(Performance Improvement Plan)の適用、降格・降給、退職勧奨の割合が増加し、従来の企業と個人の関係性の前提であったメンバーシップ型雇用からの脱却を目指す姿勢が明確となった。
採用と雇用調整においては、ジョブ型雇用へ移行する傾向が確認できる。一方、日系企業における異動の方針については、会社主導で行われる割合が、現在も3-5年後も大きな変化がないことが明らかになった。