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新しい金融のカタチ

“意味のある”顧客接点を起点に金融サービスを展開していく新たなプレーヤーたち

第2回

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金融業界における従来型の顧客接点の希薄化

 あらゆるサービスにおいて、いかに顧客と接点を築き、顧客を理解したうえで文脈あるサービスを提供できるかが問われています。その中でも特に金融サービスは、個々人の状況に合わせ専門性の高いサービスを提供する必要があるため、提案する際の内容やタイミング、コミュニケーションの質が最も求められるサービスであると言えるでしょう。

 インターネットが普及する以前は、銀行、証券会社、保険会社といった金融機関は、頻繁にお客様の自宅に訪問することで、その人の属性情報や行動情報を対面で手に入れていました。こうした情報に基づき、“文脈”をもったサービスを提供し、そして顧客からの信頼を獲得していました。

 しかし、インターネットが普及すると、金融機関と顧客との接点は急速に希薄になり、金融機関が保有する情報も減少しました。それに拍車をかけたのが、いわゆるリーマン・ショックを発端とする世界金融危機です。金融機関への信頼は大幅に低下し、顧客との接点はさらに薄くなってしまいました。特に、公的資金による銀行の救済が目立ったアメリカやイギリスでは、ミレニアル世代を中心に国民の大手金融機関への不信感が非常に高く、それが新しいチャレンジャーバンクや証券会社が受け入れられやすい背景にもなっています。

 ちょうど同じ頃、他の業界では、モバイルテクノロジーの進化によりモバイルアプリの提供が盛んになり、蓄積されたデータに基づいて顧客体験が飛躍的に向上しました。その結果、顧客接点の希薄化が進んでいるにもかかわらずレガシーな基幹システムが足枷となり柔軟なサービス改善ができない金融機関のサービスは、相対的に満足度の低いものになってしまったのです。

業界別個客推奨度金融庁「リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査について(最終報告)」p.62「【参考】 業種別平均NPS®」をグラフ化して作図

 顧客属性情報と行動データの掛け合わせによって初めて、適切なコンテンツを適切なコミュニケーション方法で提供することが可能になります。言い換えると、オンライン/オフライン両方で顧客との接点をいかに持ち続けるかが重要で、そこでは「簡単、便利、楽しい」という顧客接点の増加につながる体験の質が問われています。

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この記事の著者

伊藤 祐一郎(イトウ ユウイチロウ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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