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知財戦略を牽引する実践者が語る、オープンイノベーションにおける「新事業創造に資する知財戦略」とは?

特許庁・PwC「オープンイノベーションを活用した新事業創造に資する知財戦略の実践へ向けて」レポート Vol.3

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登壇者紹介

  • 林 力一氏(PwCコンサルティング合同会社 マネージャー)※全体のファシリテーションを担当

事業開発観点の知財戦略は「競争型」に加え「共創型」が重要

 パネルディスカッションの前に、PwCコンサルティングの林力一氏が、特許庁の委託事業「大企業等によるオープンイノベーションを促進する知財戦略に関する調査研究」を振り返り、知財戦略の再定義と具現化に向けた示唆について語った。

 林氏はPwCコンサルティングの知財ソリューションチームで大企業の知財戦略立案に携わり、個人的に弁理士としてベンチャー企業の顧問を務めるなど、さまざまな立場でさまざまな企業の知財戦略に触れてきた。そうした経験も踏まえ、「技術的先鋭性、開発速度、製造・販売効率の限界など課題が山積みで、コスト面では中国の5倍ともいわれる。その中で、あえて自前で行う意味があるのか。自社に有効な知財アライアンスの組み方を考える時期に来ている」と、現在の日本における知財戦略の在り方を問いかけた。

 「知財戦略において、技術開発と事業開発のパートナーアライアンスは、まったくの別モノ。今後は事業開発という観点から知財戦略を組み立てる必要がある」と林氏は語り、「競合に対して特許のリスクを解消・差別化し自身の事業領域で知財を活用する“競争型”知財戦略。それ対して、“共創型”知財戦略ではパートナーの事業に知財を活用することで共創を促進しようという発想になる。当然ながら、知財投資も利他的な発想で行われる必要がある」と解説する。

 そこで重要になるのが、SDGsや社会課題解決を背景とした企業のビジョン設定であり、社内外が腹落ちできるようコミュニケーションを重ねること。とはいえ、常に社内ではイノベーションのジレンマ状態に陥りがちであり、例えば海外の大手ITベンダーなども停滞期を機に知財を販売し、社内の反発を受けながらもモノづくりの会社からソリューションベンダーに舵を切ることができた。インテルも共創型の知財投資には社内外からの反発も大きく、現在も対話を図りながら事業を推進しているという。

 「海外の大手ITベンダーなど、知財の活用で成功している多くの企業も知財戦略のフレームワークとして美しく描いているが、実際はあがきながら作り上げてきたというのが現実。フレームワークだけではイノベーションは実現できない」と林氏は訴えた。

 現在、世界全体で350万件/年もの知財が特許出願されており、それらを迅速かつ的確に自社の経営戦略に活かすことは、知財部門の重要な機能の1つとなる。最新の知財情報分析等のツールを活用すると、自社の知財と親和性の高い市場を計算した新規事業領域検索や、技術開発・事業開発に有効なパートナー企業検索やR&Dのロードマップの推定なども可能だという。

「知財そのものに加え、事業戦略につながる競争・共創の知財戦略、その戦略を契約として具現化すること。その3つが知財の機能として重要と考えている。また、知財投資の方向性もまったく異なるので、企業としてのビジョンや戦略、ガバナンス、組織設計も不可欠だ。今回の調査では、特に新しい『共創型』の知財戦略をどのように実現しているのか調査し、そこから得られた示唆を広く提供したい」

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