持続可能性はコストか使用価値か、予見に周囲をどう巻き込むか
長谷川:悩ましいのは、例えばオランダ・アムステルダムのサーキュラーエコノミーが成功していると言っても、それは一個一個の事業者や消費者が高い環境意識を持っているからという話ではなく、単純に、使い終わったものを回収して原料化するサーキュラーなサイクルに乗っかることが経済合理性に適っているから。その仕組みをどう作るかは、どちらかといえば行政の仕事。もちろん個々の企業がフリーライダー的に資源を無駄遣いして儲けまくるのは論外ですが、意識の高い一個の企業が貧乏くじを引くという発想ではおそらく長続きしない。行政の中にそういうアジェンダやシステム思考をどう浸透させるか、という部分でもサービスデザインは貢献できるとは思いますが……。
武山:制度の仕掛けはもちろん重要です。一方で、持続可能性は何かとコストとして捉えられがちですが、使用価値的な意味でプラスの側面も持ち得ると思っていまして。そういう意味では、どう体験化していくかが鍵となり、新しい充実感の提案など、うまく持続可能性につながるような価値観や仕組みを、世の中に問いかけていくアプローチもあるのではと思っています。