コロナ禍の現在とルネサンス時代の共通項
目下世界の大きな課題となっているのが「コロナ禍」だ。SINIC理論を立てた創業者の一真氏の息子で、オムロンの社長や京都商工会議所会頭として、またヒューマンルネッサンス研究所の生みの親として、イノベーション創出を進めてきた立石義雄氏も、その刃に倒れた一人である。そういう想定外の世界的パンデミックの中で、SINIC理論も、あてにならなくなるという見方をする人もいる。しかし、中間氏は「決してそうはならないと思う」と語る。
原始社会から農業社会に変化した時、飢餓や氷河期などの危機が訪れ、その結果、農業という革命的なテクノロジーが発達した。そして、道具や集団という手段が求められ、それを使いこなす個人の能力も見直された。さらに、農業社会から工業社会への変化の時期にはペストが大流行し、その結果、宗教界の権威が崩れてルネサンスが興った。ルネサンスはアートだけではなく近代科学をも生みだし、それが産業革命につながったというのは周知のことだ。さらに、工業化社会から産業化社会への変化では、地球温暖化など環境問題が大きな脅威となり、IT革命が生じてきた。