1.JAL Vision 2030
JALは、「JAL Vision 2030」を掲げ、「安全・安心」と「サステナビリティ」を未来への成長のエンジンとして、以下の実現を目指す。
2.中期経営計画のタイムライン
その中で今回策定した中期経営計画は、コロナ禍からの早期回復とJAL Vision 2030の実現に向けた5ヵ年計画として位置づけられている。2023年度にはコロナ禍前の利益水準を超えるEBIT 1,700億円を達成し、最終年度となる2025年度には、EBIT 約1,850億円レベルを目指す。また、2030年には事業を通じたSDGsの達成、2050年にはCO2排出量実質ゼロの達成を目指して取り組んでいくという。
3.経営戦略の骨子
この中期経営計画では、「事業戦略」「財務戦略」「ESG戦略」を経営戦略の柱として環境変化に適応し、持続的な成長・発展の実現を目指す。
4.事業戦略
マーケット環境の変化に柔軟に対応し、今後のリスクに耐えうる持続可能な事業構造を構築するため、事業構造改革を推進。機材・ネットワークの適正化と競争力の強化によりフルサービスキャリア事業の収益性を改善・向上するとともに、貨物郵便事業で安定的な収益の拡大を図る。また、今後確実な需要の成長が見込まれるLCCマーケットでは、ZIPAIR・SPRING JAPAN・Jetstar Japanとの連携を強化し、ネットワークの拡充と収益の拡大を図っていく。JALグループの強みである顧客基盤や、運航ノウハウ・技術力などのヒューマンスキルを活かし、マイル・地域活性化・受託・次世代エアモビリティなどの事業領域を拡大していくとしている。
5.財務戦略
最初の3年間は、新型コロナウイルスにより毀損した財務基盤の再構築に注力し、2023年度までに健全な財務体質を取り戻す。そして、2024年度以降は持続的な成長に向けた投資を積極的に実施し、利益成長と企業価値の向上を実現し、リスク耐性の強化と資本効率の両立を追求していくという。
6.ESG戦略
環境・人・地域社会・ガバナンスの4つの領域に22の課題・約180の取り組みを定め、事業を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現を目指す。
特にCO2削減の取り組みでは、2050年の総排出量実質ゼロに向けて、省燃費機材への更新、運航の工夫、代替航空燃料の活用を推進する。2030年にはCO2総排出量を2019年度比で90%に抑えるため、全燃料の10%を代替航空燃料に置き換えることを目指し、2050年に向けて取り組みを加速させていくとしている。
7.中期経営計画の経営目標
2025年度に達成を目指す中期経営計画の経営目標は、「安全・安心」「財務」「サステナビリティ」のそれぞれに目標値を設定し、最重要経営課題として取り組んでいく。
- 航空事故・重大インシデントをゼロ件に抑えるとともに、世界トップレベルの顧客体験を創出することを目指す。
- 財務再構築の節目となる2023年度に各指標でコロナ禍以前の水準を達成し、以降維持・向上を図る。特に、EPS(一株当たり純利益)については、2020年11月に実施した公募増資による株式希薄化の影響を打ち返すレベルを目指す。
- CO2の削減に加えて、使い捨てプラスチックの削減、地域活性化に資する国内輸送の実践、女性管理職比率を含むD&Iの推進を図る。