投融資の呼び込みに欠かせない「移行計画」の重要性
長村:“財務インパクトを導く経路”ともいえる「気候関連指標」ですが、実は項目として新しいものはありません。いずれも、2017年の最終提言の中に何某かの形で盛り込まれていました。しかし今回、それらに対し新たなフォーカスの当て方をしているという点で、注目していただきたいと考えています。中でも特筆すべきなのは、本指標における「Scope3」についてです。Scope3とは「他社からの間接排出」のことを意味しますが、その中には15個のカテゴリーがあります。
金融機関においては、特にカテゴリー15「ファイナンス・ミッション(【表3】赤枠中の濃い青色)」が非常に注目を浴びています。ちなみにCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の調査によれば、金融機関におけるScope3排出量は、そのオペレーションに係る排出量に対しておよそ700倍になるともいわれています。これらの事実があるにも関わらず、これまで情報がほとんど開示されてこなかったという問題を今回改めようとしているのです。