DXを可能にする環境づくり③:小さく始め、素早く学ぶ
官僚的で大きな組織は綿密に計画されたことを間違いなく遂行することに長けている。一方でデジタル組織に求められるのは、不確実な中で試行錯誤しながら小さく実行を積み重ねるという行動原理だ。大きな費用を費やして物理的な物を作る場合、そのプロジェクトは完成品を目指すだろう。ときには5年、10年もかかることもある。しかし、デジタルでは完成品、完璧なものを目指すのではなく、とにかく最低限の内容を、最低限の完成度でよしとして素早く始め、実際のユーザーから素早くフィードバックを集め、素早く修正することを繰り返す。
GOV.UKのきちんと動くα版はわずか13週で立ち上がった。電子請願サービスはまったくのゼロベースから11週間で完成させ、12週目には立ち上げることができた。元々のプランではそのサービスは外注しようと考えており、コンサルタントを入れて相談したところ2年かかると言われたものだ。しかし、内部の少人数のチームにより12週目で立ち上げられた。もちろん完成品ではないが、走り出すには十分なものだった。