SMSを軸にサービスを展開するCM.comとは
──F1オランダGPの例でお伺いしたように、現在は様々なサービスによって新しい顧客体験を生み出していらっしゃいます。ここで企業の概要について改めてお聞かせください。
Hodny:CM.comは、1999年にオランダで設立され、2020年にユーロネクスト・アムステルダムに上場した、グローバルIT企業です。現在社員数は1,000名以上、24ヵ国で事業を展開しています。「カンバセーショナルコマース」という、メッセージを通じて顧客とコミュニケーションしたり、チャット画面内でチケット等を販売したりできる仕組みをメインに、マーケティング、チケット発券サービス、デジタル認証などを1つのプラットフォームで提供しています。
1999年、郵送コストの割にDMが読まれにくくなってしまっている点に目をつけ、電話番号を使ったSMS送信サービスを提供する企業として創業しました。当時は、イベントの観客と運営側のコミュニケーションを円滑にする事業を主に提供していました。イベント日程を適切にリマインドし、会場の場所を知らせ、観客に確実に来場してもらい、イベント会場でグッズを購入したくなるよう販促し、イベントの最新情報をデジタルで伝えるサービスからスタートしたのです。
その後、スマートフォンとクレジットカードを使った決済システムを使えるようにし、様々なSNS連携や音声対応を可能にし、AIチャットボットやモバイルマーケティング、チケット発券サービス、デジタル認証などの自社開発プラットフォームをSaaSとして提供するようになりました。現在はクライアント企業の顧客体験を向上させるべく、様々な開発を進めています。
──クライアント企業にはどのような業種・業態が多いのでしょうか。
Hodny:業種ではEC、金融機関、旅行業界、政府機関など、中小企業から大企業・大組織まで、世界中の様々な業種、業態、規模の企業とお付き合いさせていただいています。
──現在24ヵ国で事業を展開しているということでした。コミュニケーションに関しては文化差が大きいのではないかと思いますが、どのように対応されているのでしょうか。
Hodny:ローカライズは我々が最も注力しているところです。たとえば、私はフランス出身ですが、フランスで成功したものをそのまま他の国や地域に持ち込んでもうまくはいきません。2020年に資金面でも人材面でも非連続な成長をするべくIPOをしましたが、海外展開自体は2014年から行っています。ヨーロッパ地域の数ヵ国から展開を始め、アフリカ、中東、アジアへと事業を拡大する中で、ローカライズを行うための知見を積み上げてきました。
海外展開時に重視しているのが、その土地のマーケットに詳しい人材を採用することです。現地の事情に詳しければ、SMSだけでなく、日本でのLINE、中国でのWeChatなど、各国でよく使われているツールとの連携もスムーズに進められます。
また、展開するタイミングも重視しています。我々は常にその国の企業からお声がけいただくようになってから進出するようにしているのです。日本にも、クライアント企業の引き合いがあって2018年に進出しました。