JTOWER、NTT東日本、FCNT、ニューラルポケットの4社は、東京都交通局の協力のもと、都営地下鉄大江戸線 都庁前駅にて5Gを活用した実証プロジェクトを開始すると発表した。
同プロジェクトは、東京都交通局とJTOWERとの間で、2021年8月に締結した「大江戸線都庁前駅構内における5G試行整備及び検証等の事業に係る協定」に基づき行われるもの。同協定においては、これまで都庁前駅にてインフラシェアリングによるキャリア5Gの電波環境整備を実施し、2022年5月よりサービスを開始している。
今回、ローカル5Gについても新たに実証環境を駅構内に構築し、5G環境下においてデジタル技術を活用した新たなユースケースの可能性に関する検証を行うとしている。
実証内容は以下のとおり。
1. ローカル5Gネットワークの構築
都庁前駅において、車両の入線するホーム、利用者が通過する改札付近、設備維持管理のための機械室にローカル5G環境を整備。整備にあたっては、電波シミュレーションを実施するとともに、スループット測定などの技術的検証も行い、プライベートネットワークとしてのローカル5Gを活用した、地下鉄施設内の保守点検作業や顧客サービスについて検証する。
2. 高精細映像伝送を活用したトンネル内施設点検への活用
保守用車に設置した高精細カメラでトンネル内の線路や天井、壁などを撮影し、駅構内にある記録装置にローカル5Gなどで伝送するとともに、AI解析による異常検知などを実施。効率的な維持管理への活用について検証する。
- 実施時期:2022年11月19~20日、12月3~4日 各日終車後(予定)
3. AIカメラの映像による駅係員業務への活用
駅係員が駅構内の状況を把握しやすくするため、AIカメラで撮影した駅構内の高精細な映像を、ローカル5Gなどを活用して駅係員のモバイル端末へリアルタイムで伝送。また、映像の解析により、車いすや白杖の駅利用者を認識して通知するなど、駅係員業務への活用について検証する。
- 実施場所:都庁前駅B2階改札付近
- 実施期間:2022年10月21日~2023年1月5日(予定)
4. AIサイネージによる効果的な情報発信への活用
データ容量の大きい動画広告コンテンツなどを、ローカル5Gなどを活用してAIサイネージに伝送する。また、サイネージに内蔵されたカメラにて、駅利用者の視聴状況の計測や広告内容に対する反応の確認を行い、効果的な情報発信への活用を検証する。
- 実施場所:都庁前駅B2階改札付近
- 実施期間:2022年10月21日~2023年1月5日(予定)
5. ARを用いた駅利用者の移動支援への活用
出入口からの経路が複雑な地下鉄駅構内における移動を支援するため、ARを用いたナビゲーションを実施。5Gを活用して、駅構内のナビゲーションデータを駅利用者のスマートフォンに伝送し、そのデータと駅利用者の位置情報を重ね合わせて、目的地までの案内ルートを表示する。
- 実施場所:都庁前駅B2階改札外、B1階
- 実施期間:2022年10月21日~2023年1月5日(予定)
この実証を通じ、都営地下鉄をはじめとした公共交通機関の駅構内等施設において、5G基盤を活用した業務のDX化、および新たなユースケースの導入に向けた検討を行うとともに、全国の鉄道関連施設への展開を目指していくと述べている。