支援者の“合理性”は新規事業では通用しない
ここまで3つの対峙シーンにおける悩みを話してきました。浮かび上がってくるのは、各者に対してどこか引け目を感じる姿です。これらはどこからくるのでしょうか。それは、彼/彼女らがこれまで人と対峙し巻き込む際に拠り所としてきた“合理性”という武器を使うことができないからではないでしょうか。
新規事業は、既存事業と比べるとリスクがあり、投資額も大きく、成功確率も低いものです。組織における合理性を追求するのであれば、新規事業はやらない方がよいという判断にさえなってしまいます。メンバー・既存部署・経営陣との板挟みに悩む支援者が抱える真の葛藤は、わかりやすい合理性では他者を動かせない新規事業の世界で、合理に軸足を置いてしか人に影響力を与えることができないと考える支援者の思い込みにあります。